自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ22)

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アメリカからの。ページ22

「今日は…私1人ですか。も〜〜っ！！A先輩どこにいるんですか〜〜！！」

音無さんの絶叫も聞こえない私は、校舎で1人補習中。
せめてグランドが見える教室を希望したけれど、それだと集中しないからと断られてしまい結局は職員室のすぐ近くの空き教室へ押し込まれた。

解せぬ。

予め用意されていたプリントを教科書から引用して埋めていくだけの作業なのだけれど、指定頁も記載が無いため索引から始まる。
隣の席に山積みにされたプリントは1年からの遅れを取り戻すための量。

「雷門さんも皆が終わるまでに進めるだけ進めろだなんて、」

人が悪い。悪すぎる。というか、今は大事な試合が控えてるのに私がここで呑気に課題なんてやってる場合じゃない！
よし！さぼろう！と意志を決めてそっと教室から逃げ出そうと心見た瞬間、扉の前に仁王立ちしていた担当教師……。

「Oh…」
「Aさんなら逃げかねないと思ったけど……まさか、10分で逃げようとは」
「せ、先生……だって、ほら！FF大会ですよっ気合い入るじゃないですかっ」

ねっ！とガッツポーズをしてみれば深い溜息と共にその試合の為にしっかりと補習を受けなさいと中に押し込まれた。
先生、私一人にして居眠りしない確率なんてはっきり、0%です。無理です、寝ます。

教科書を開いて必死にプリントに向き合う。
数分、あるいは数時間立った頃教室の扉が開き、外を見れば太陽が少し傾いていた。
扉を見れば、修也くんが立っていた。

「お昼？」
「ああ。少し面白い話もあって」
「あー、でもまだ終わってないから皆の所へは行けないや」

ごめんね、と笑えば勝ち誇ったような微笑みで

「許可は貰った。昼ご飯の間気分転換でもしてきていいってさ」
「やったー！！ありがとう、修也くんっ」

ペンケースに筆記用具を詰め込み、開いた教科書とプリントを交互に挟んで閉じて。お弁当箱を持って修也くんの元へ駆け寄る。

「面白い話って？」
「アメリカから木野と土門の幼馴染が来てるんだ」
「え、あ〜…うん？」

反応に困れば、余程そのアメリカからの幼馴染が気に入ってるのか口角を上げて笑ってらっしゃる。

「フィールドの魔術師って言われてるアメリカの天才日本人プレイヤーなんだそうだ」
「へー！すごい！」

じゃあ、急がないと！と修也くんの腕を引いてグランドへかけて行く。
皆がベンチに集まって誰かを囲っているのがよくわかった。

「木野さーーん！」
「あ！Aさん、よかった校舎にいたのね」