自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ21)

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失恋。半田side ページ21

「Aと豪炎寺は付き合っていない」

2人の言葉からそれぞれ聞いたから、事実だろう。
でも、否定する割に2人はいつも一緒にいて、帰りも何も言わないけど必ず豪炎寺はAの事を待っていて…。

「なんで、周りから見てわかるのに付き合わないんだろう」

その方が、諦めがつくのに。そう言葉を飲み込めば机に腰をかけていた染岡が微塵も興味無さそうにそーだな、とだけ。

「豪炎寺が転校してこなかったらさ、俺…Aと付き合えたかな」

ぽろっと染岡に言葉を零してみれば、瞬きを繰り返した染岡が今更

「お前、Aのこと好きだったのか？」

なんて言うものだから。こいつの頭には恋愛はまだ早い。もういいよ、と自分の机に突っ伏して昼寝中のAを見つめた。
教室で昼寝するようになったのも豪炎寺が来てからなんだよな、と思ってしまえば到底適う見込みなんてなくて。

それでも、豪炎寺の居ない1年…実際には1年にも満たない時間だったけど。
あの時間は確かに俺とAの記憶にしかない時間で。

放課後、芝生で気持ちよさそうに寝息を立ててたAをただ、見詰めて。

サッカー部だから、ということで知人判定してもらえた奇跡には涙で枕を濡らしたくらいにはずっと、密かに思いを寄せていて。

「だって、数いる男子の中で俺らだけ反応してくれるの嬉しくないか？」
「あん？んなのどーでもいい」
「あーあー！染岡はそういう奴だったな。振った俺が馬鹿だった」

項垂れば、扉からちらりと覗き込む風丸と目が合う。
か…！！

「風丸〜！！」
「うわぁ！なんだ？！半田か…いや、俺は円堂に用事が」
「円堂なら呼び出しされて雷門の所だ」

なんだ、じゃあいいやと教室を立ち去ろうとする風丸を捕まえて聞いてくれよ〜！と縋り着けば鬱陶しそうにしながらも空いている椅子に座って話を聞いてくれる。

やっぱ良い奴だよな〜、女子にモテるだけはある。

「なあ、もしさ1年のときAに、告白してたら付き合えたかな」

声を潜めて聞いてみれば、風丸は少し考えてからはっきりと、ないな。と
なあんで！！風丸にそんなこと分かるんだよ！と机をばんばん叩けば、落ち着けと額をチョップされて。

「1年の時のAなんて、木野くらいだったろ。まともに話に応じてたの。円堂だって基本無視されてたって言うし」
「俺は違ったかもしれないじゃん」
「その自信はどこから来るのか知らないけどな」

みんな知らない。
あの日2人で部室にいた時のAの笑顔は俺だけが。