自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ4)

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歴史と仲間と期待。ページ4

いつの間にか当然のように学校のグランドで練習出来るようになって。
修也くんと風丸くんが炎の風見鶏を完璧に仕上げている。
影野くんと一緒に遠くからグランドを見ていれば雷門さんの車が止まった。

「あれ、お迎え？」

影野くんの目を合わせ…合ったのかはわからないけど駆け足でグランドへ向かう。うん。影野くんは早いね。駆け足から早歩きに変えてグランドへ着くと皆はぞろぞろと移動を始めた。

突然、部室を見ることになって理事長と一緒に部室の中へ。
この部室が伝説のイナズマイレブン、響木さん達の時から使われているらしく、ボールを退かしたり棚をずらしたり、あちこちから当時の落書きが発見された。

「全然気づかなかった」

俺たちは逃げたんじゃない。殴り書きされたようなその文字に、胸がつんとした。どんな思いで書いたんだろう。強くなりたい、新必殺技。どれも全部大切な思いの形。

理事長がこれから増えてくる部員のことも考え、サッカー部への御褒美として新しい部室の提案をしてくれた。
皆が喜ぶ中、円堂くんがぽつりと、このままでいい、と。

「この部室は、試合も出来なかった時の俺達のことも。昔のイナズマイレブンのこともみんな知ってる。
それに、こうして仲間も増えてきた。この部室は雷門イレブンの歴史その物なんだよ。俺達の大事な仲間なんだよ」

円堂くんらしくて。修也くんと視界が重なれば何となく笑う。
染岡くんが円堂くんの言う通りかもしれないと笑う、風丸くんが
「この部室に優勝トロフィー飾ろう」と名案を。それいい！と円堂くんが笑えば、栗松くん達も同意してくれて。

練習再開！と部室から駆け出していく。意外にも1番早く出たのは宍戸くんだった。皆が出たのを見届けて修也くんと一緒に出れば、土門くんが頭の後ろで腕を組みのんびりと出てきた。

そんな土門くんの影に項垂れる雷門さんが見えた。
雷門さんからしたら、確かに新しい部室の方がいいのかもしれないね。
綺麗好きだもんね、とふふっと笑えば修也くんに背中を押されグランドへ急いだ。

不意に声援が聞こえて見上げれば渡り廊下から、窓から。皆ががんばれーと声をくれる。
駆け抜ける皆の後ろ姿を見ていて何だか、嬉しくて、誇らしくて。

不意に知らない女の子に呼び止められる風丸くん。
モテるなあ…と思って芝生の坂を駆け下り、先に降りていた修也くんの元へ。最後の円堂くんが風丸くんに声をかける。

行くぞ、と言わんばかりの修也くんの視線に引っ張られる。