自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ29)

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突破口。ページ29

木戸川清修の猛攻を、皆で防いでいる中雷門さんと会話は続いた。

「木野さんはみんなのことよく見ていて、マネージャーとしても凄く尊敬してる。音無さんも対戦相手の情報をしっかりまとめてくれて、1年生も同い年のマネージャで気を使わないで居られるし。雷門さんも居てくれると皆気が引き締まるし、一言があるだけで全然違う」

それに比べて私は。

何も出来ない。

「いつもぽけっとしてるから、そんな事気にしてないと思ってた」

そんな、と肩を落とせば木野さんが後10分と…。皆を見れば、雷門さんがずっと攻撃されてばかりじゃないと不安を口にした。

「いや、突破口はある」

響木さんが三兄弟をみて、攻撃に気持ちが早っている事を教えてくれる。
終盤との連携に隙が出てきたことを言えば、そこが狙い目だということがわかる。

「鬼道はもう気付いてるはずだ」

そう言われ、鬼道さんをみれば円堂くんの所で土門くん、一之瀬さんと一緒にいるのが見えた。状況理解力というか、なんというか。鬼道さんの天才ゲームメーカーというのは嘘じゃないんだな、と思い知る。

「ねえ、貴方ならどう隙をつく？」

雷門さんに聞かれて、変な声が出た。
木野さん達も見てきてええ、と少し考えてから恐る恐る言葉にする。

「んと、修也くんを警戒してるのはわかるから修也くんを抑えさせて…」

ちらり、と壁山くんや栗松くんを見てスコアブックもみて。
フィールドを指さしして伝えていく。

「守備がしっかり機能してて、皆が止められるのは確実だから。ここはDFの薄い土門くん、一之瀬さんを中心に抜けられるように配置して…道が切り引いたら円堂くんに上がってもらってトライペガサスかな…他は修也くんが攻撃の基盤だからそれ以外は難しいと思う」

そう言えば、円堂くんが攻め上がるのは現状得策ではないのでは？という雷門さんの言葉に頷く音無さんと木野さん。

「それはそうなんだけど、壁山くんも栗松くんも。皆いい守備が出来てるから三兄弟にパスが回らない限りは大丈夫だと思う」

そう答えれば、なるほど…と声が聞こえた。
他に最前の手があるかは私には分からないけどあるとしたら、それは鬼道さんなら導けることだと思う。

「わ…！」

修也くんと染岡くんが道を開けるようにサイドから上がっていく。
おっと、鬼道さんも同じ事を考えてたようでした。

一之瀬さんにパスが回り、一気にフィールドを上がっていく。

皆が心配そうに、不安そうにペガサスが飛び立つのを見守る…。