自由な君と。- 豪炎寺修也 -

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約束。* ページ29

「そういえば、話があるんだろう？」

食べ終わった円堂くんが不意に話しかけてくれた。
結局お腹いっぱいになって残してしまった数口を修也くんが食べてくれる。
あはは、と呆れた顔の風丸くん。

「あのね、円堂くん」

“私、また皆と一緒にサッカーしたい”

その言葉を一生懸命声に出せば、円堂くんはお箸を落としてしまった。
と、思えば立ち上がって…。

「A〜〜！！」
「わー！抱きつかないで！！」
「俺！絶対！Aはサッカー好きだって信じてた！だって！あんなにすっげーサッカーできるんだ！絶対好きだって！」

円堂くんをひっぺがして、服を整える。

「プレーは……出来ないよ、マネージャーだよ？」
「それでもいい！」
「約束、したから……？」

おう！と眩い円堂くんの笑顔に胸が締め付けられた。

.

「ご馳走様でしたー！」

ふー！いっぱい食べた食べたー！お腹をさすって満腹に幸せな気持ちになっていると修也くんがあれだけ食べればな……と呆れたように笑った。

「奢らなくてよかったのか？」
「え？本気にしてたの？冗談なのに」

分かりにくいんだよ！とツッコミを入れられたけど知らん顔。

皆と別れた帰り道。
さっき雷雷軒にいたちょっと古風な装いのいかにも怪しそうなおじさんが。

え…やだ、露出狂……？

「おい、失礼なこと考えてないだろうな」
「ひええ」
「娘さん、確かAって呼ばれてたけど…」
「すみません、見ず知らずの人と話さないよう教育されてるので」

来た道を引き返して修也くんと遠回りして帰ろう。うん。

「ちょ、ちょ！待たんかい」
「きゃあ！！悲鳴あげますよ？！」
「もう上げてるって！ほら！これ見ろ！」

ん！と出されたのは…警察手帳…？

「警察…？私何か捕まるようなこと」

しました？と1歩引くと、鬼瓦刑事？さんが違う違うと手帳をしまった。

「なにか困ったことがあれば連絡してくれ。必ず力になる」
「……どうして私に？」

携帯の番号が書かれたメモを手渡された。
皆でいる所で渡してくれてもよかったのに、1人になった所へ話しかけに来る当たり怪しい。

「……いや、雷門はきっとお前達子供だけじゃ対応できない事が起きるはずだ。誰か一人でも大人の協力があればそれだけで、事態が変わることもあるもんだ」
「だからって……刑事さんがわざわざ」

なに、お父さんによろしくな。そう手を振って人混みへ消えていってしまった。
帰ったらお父さんに聞いてみよう、刑事さんの知り合いのことを。