自由な君と。- 豪炎寺修也 -

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1点。* ページ18

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ホイッスルと共に、再びデスゾーンが襲う。
修也くんは真っ直ぐに駆け出した。

円堂くんがシュートを止めるって信じてる、修也くんは迷いなくただ、ただ真っ直ぐゴールへ上がっていく。

黄色い、稲妻が走る大きな手が……。円堂くんの必殺技……！

わっと皆が同じ気持ちになった。木野さんと音無さんがぎゅうと抱き合って喜びに震える。

「いけ！豪炎寺！」

ゴールから真っ直ぐに修也くんへ繋がるロングパス。
しっかりと受け止めた修也くんは必殺技……ファイアトルネードを。

その爆炎は帝国学園のゴールネットを揺らした。

ホイッスルが響く。

修也くんが、雷門が、ついに帝国から1点を取ったホイッスルだ。
隣で2人がぴょんぴょん飛び跳ねて、皆が嬉しそうに笑みを零して。

ありがとう、修也くん。
ありがとう、夕香ちゃん。

ぎゅう、と強く。制服を抱きしめて。

歓喜の中、突然の帝国の試合放棄の宣言により、1点の余韻の中撤退していく帝国。

ぽかん、としていると皆が修也くんを囲んでいた。
サッカー部入るのかな。なんて、思って眺めていたら半裸で皆の影から出てきた。

半裸……？え？？ユニフォームは？
半裸の修也くんが真っ直ぐこちらへ向かってきて、あわあわする木野さん、音無さん。私もどうしたらいいかと抱えていた制服で顔を隠した。見てません。

「おい、」
「Aさん、Aさんっ」

ちらりと覗くと目の前に修也くんがいた。なんでええ？！
呆れたような溜め息が頭上から聞こえる。

「あ！」

コレデスヨネ。

制服を献上するように差し出すと、何の言葉もないまま立ち去る修也くんにちょっと寂しさを感じた瞬間、通り際に優しく、軽く。
ほんの一瞬頭を撫でられた気がした。

撫でられた頭を何となく、さする。

「前から思ってたけど、豪炎寺くんと知り合い？」
「うん、ちょっとだけ」

その後は皆で1点を喜んで部の存続まで付いてきて。
喜んで飛び跳ねる皆を私も嬉しくて一緒に笑って。

真っ直ぐ家に帰ったんだ。

「Aちゃん、サッカー部今すぐ辞めよう」

そう、お姉ちゃんから言われるまでは幸せに包まれてたんだ。

初めて触れた、喜びが大きな音を立てて崩れていく。
お姉ちゃんの表情はその言葉を受けた私よりも、もっと悲しそうな顔をしてた…。

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