【中島敦】僕が守るから【文スト】

16話：嫌なんかじゃ ページ17

A「そう、デート。嫌かもしんないけど」



敦「嫌じゃない！」





おっ。



敦くんが私の目をまっすぐ見つめる。





敦「.....あっ、ご、ごめん」



A「いや、私も変な事言ったね。ちょっと前まではあなたとデートなんて私が嫌なくらいだったけど、今は悪くないなと思ってるくらいでさ」



敦「前までは嫌だったんだ？」



A「うん。嫌」





ムッとした顔をした敦くんが、私の手を掴む。





敦「...なら、嫌じゃないうちにそれっぽいことしようよ」



A「え...あつし、くん」





...耳まで真っ赤だ、この子。





A「.....ふふ」



敦「！」



A「あははは、ははっ」





心の底から笑いが出てくる。



久しぶりだ。表情が緩み、堪えても止まらない。



そんな私を見て敦くんは手をさらに強く握った。



あの敦くんがこんなことを、と思うとさらに面白くて、また笑う。





A「はぁ、面白い。私敦くんのこと割と好きだな」



敦「っ！ぼ、僕も。わりと」



A「本当、私に対してだけツンデレだね。面白いなあ」



敦「う、うるさいな！君だって人のこと言えないだろ！？」





前からそうだった。



この人は私が一番気を許せる相手だったんだ。



太宰さんもそれをわかってたんだ。だから一緒にした。



.....そうだな。いつか、この人にも、



私の話が出来たらいいな。

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