【銀魂】いのちがほしい【沖田総悟】 (ページ9)

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第九訓ページ9

大炎上する敵の車をバックに、部下のドライブテクニックが光る。キィィと大きな音を立てて入口で目の前の光景に驚いているAを後部座席の部下達が無理やり車の中に押し込む。傍から見れば誘拐のようなシーンだが生憎俺達は警察だ。
走り出した車の中で部下が俺におずおずと尋ねた。

「沖田隊長。これからどうしますか」
「移動先の病院はもう使えねェな。今近藤さんにメールした。多分そっちには別働隊…二番隊が向かってらァ」
「では…この娘はどこに…?」

バックミラーをチラッと覗くと、部下達に挟まれて少し強ばっているAと目が合った。
欠伸をして、窓を開ける。今の一瞬の戦いでも体が熱くなった。窓を全開にすると、一気に冷えた空気が入ってきて気持ちが良い。風圧に耐えきれず目を細めて、俺は提案した。

「うちに戻る」
「はい?」
「真選組でィ。思ったより奴等の残党は多い。もう病院とかそんな公共施設にはこの女置けねぇよ」
「しかし…土方さんにドヤされませんか?」
「姉上が遠路はるばるいらした時に誰かよからぬことを考えた奴がいたか?いねぇだろィ。だから大丈夫でさァ」

それは貴方の姉上だから…と部下が呟いたがすぐに黙った。仮に誰の身内でもない女が突然うちに来ても、過ちをおかす芯の弱い人間はうちの中にいない。いてもすぐに死んでいる。そのことを理解したのだろう。
そんな話をしているうちに真選組につく。こんな夜中だってのに門は開けられていて、土方さんと近藤さんが隊士達に指示を出していた。近藤さんは俺達に気付くと、大きく手を振ってこちらに走ってきた。

「おかえり! よく帰ってきたな」
「すいやせん近藤さん。あの病院今大炎上中でさァ」
「大丈夫だ。トシがそんなこともあろうかと火消しを近くに待機させていたらしい……っと、お嬢さんを連れて帰ってきたのか?」

後部座席の真ん中に身を狭めて座っている彼女を見て、近藤さんは意外そうに呟いた。連れて帰ってきた理由を説明すると、近藤さんはすんなり了承してくれた。

「確かにそれが一番かもしれないな。そういえば総悟の隣の部屋空いてたよな? そこにお通ししなさい」
「ええ、俺の隣ですかィ?」
「ったりめーだろ。元々お前に任せた護衛だからな」

ちぇ、と舌を出して車を降りる。後ろのドアを開けて女に「降りな」と一言声をかけると、すぐに彼女は車を降りた。