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第四十一訓 ページ41

数ある取調べ室のなかでも一際大きな部屋で、今回の久遠氏の事情聴取は行われる。殺風景な部屋にぽつんと置かれた机。その机の真ん中には手錠が備えつけられており、事情聴取される人間は抵抗ができないようになっている。

その部屋の側面に取り付けられている大きな鏡。それはマジックミラーとなっていて、俺達警察関係者や、被害者が被疑者の様子を伺うことが出来る。


部屋に到着すると、何人かの警察関係者や近藤さんを初めとした真選組幹部がすでにいた。Aは少し萎縮した様子だったが何とか歩けてはいる。

すると、マジックミラーの向こう側に土方さんが入室した。近藤さんが向こうの音声が聞こえるスイッチを押すと、つけていたインカムで「あー、テステス。聞こえるかトシ」とマイクテストを行っていた。
土方さん側からは返事ができないが、様子は見えるので土方さんはこちらを水に机の下でOKサインをした。


「もうすぐ久遠氏が入室する。心の準備をしておけよ」


お嬢さんもね、と近藤さんはAに声をかける。Aが覚悟を決めた顔でゆっくりと頷くと、向こうの部屋の扉が開いた。


白い囚人服に身を包みながらも、その顔には微笑みを浮かべている。静かに入室した男は、彼女から聞いていたイメージとはかけ離れた、妙に爽やかな男だった。
実年齢は50代だが、その顔はシワ一つなく、20代後半から30代後半に見えた。

そちらの部屋の会話はスピーカーで聞こえてくる。土方さんは久遠天海に話しかけた。


『お前が久遠天海で間違いないな』
『ええ、そうです』

「間違いないね」
「…ええ」


近藤さんがAに問う。彼女は緊張した面持ちで頷いた。


『…で、聞きたいことが山程あるんだが…まず娘のことから聞くかね、天海さんよ』


いろんなことを聞きたいだろうに、まずAのことから聞くとは。
おそらく、Aの精神状態を気遣ったのだろう。今回の取調べで彼女のことを聞いて、Aの中のわだかまりを消してやろうと思ってるんだろう。

久遠氏は微笑みを崩すことなく答えた。


『娘、ということになってるんですねAは。戸籍登録なんてしてませんからね、大変だったでしょう、手続きとか』
『だがアンタは娘として扱ってたみたいじゃねぇか。それなりの愛情があったと思ってたが』
『まぁそれなりに。聞き分けのいい子でしたから』


あんな監 禁に似た状況では彼に従うしかない。それを聞き分けがいいだと?
奴はAを何だと思ってるんだ。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:ぽん酢ちゃん | 作成日時:2019年1月13日 19時

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