第最終訓 ページ41
『今回、内部総入れ替えにつきまして、宇宙警察庁長官は宇宙を細かなエリアごとに分けて統括するシステムに変更するとの発表をしました。そして私、桜雅崎を地球を含む太陽系近辺を統括する警察本部長に任命しました』
他のエリアの警察本部長は…とAは名前を淡々と発表していく。なるほど、彼女はここら一帯を統括する役職についたから記者会見を行っているのか。
阿伏兎とまじまじとテレビを見て、なんとなく、彼女に合った仕事だなと思った。阿伏兎もそう思ったらしく、目が合って笑いあった。なんだか、彼女が遠い存在になっていく。そんなことも心の片隅で思った。
Aの発表が終わり、記者からは質問の嵐が巻き起こった。時間的にも厳しいだろうが、彼女はひとりひとり話を真剣に聞き、丁寧な返答をしていった。
とある記者が指され、記者が起立する。少し興奮気味な彼はメモをとる準備にかかり、口を開いた。
『桜雅崎さん、太陽系を含む一帯を統括する警察本部長に襲名されたと先程仰いましたが、まず最初はどのような仕事に取りかかりたい思っていますか?』
彼女は少し考えると、その記者ではなくひとつのカメラをじっと見つめて微かに笑った。そのカメラは俺が見ているテレビのカメラで、画面の向こうにいるのに彼女と目が合っているような感じになった。
久しぶりに見るその鋭い綺麗な視線に、思わずごくりと生唾を飲む。彼女は桜色の唇をゆっくり開いた。
『宇宙海賊春雨提督兼第七師団団長と戦いたいです』
胸が高鳴った。恋を自覚したあの時のような感覚。阿伏兎が隣で俺を見てニヤ〜ッと笑うのが何となく分かった。
『春雨ってあの…?その提督と何か因縁が?』
『…そうですね。深い因縁です。簡単にはちぎれない、固い
どくん、どくん。数ヶ月経ってもこの気持ちは変わらない。多分俺は今顔が真っ赤だ。
『彼と…また、戦いたい。ずっと、刀と拳を交えていたい』
会場が「敵に対する反応とはちょっとずれた」彼女の表情と言葉に困惑する中、俺にはその言葉が心臓に深く刺さって抜けないままでいた。
…ああ、ずるい。こんな、宇宙中に中継されている舞台で、そんな告白をするだなんて。彼女は言葉すらも武器にしたのだ。俺の心臓を射抜く刃として。
「だってよ。早く返事してやんないとな」
「うん…そうだね」
俺の言葉に応えるかのように、画面の中のかつて無表情だった少女は、にっこりと、上手に微笑んでみせるのだった。
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きんぴらごぼうちゃん(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます! 原作での神威の発言から察するに、神威は異性を見る時まずどんな子を生むか考えるんだろうなと思いながら書きました。でも見た目にもうるさかったらいいなとも思いました笑 応援とても励みになります。精一杯頑張ります! (2018年9月8日 0時) (レス) id: 6ee86a90be (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - とつても面白いです。主人公の設定とかとても良いと思います。神威のセクハラプロポーズのところが新鮮で良かったと思います。更新待ってます。頑張ってください。 (2018年9月6日 23時) (レス) id: 34ad78a799 (このIDを非表示/違反報告)
きんぴらごぼうちゃん(プロフ) - kamiyakazi725さん» お返事遅れてしまい申し訳ございません。応援していただきありがとうございます!なかなか時間がなく、更新もかなり遅めですが完走できるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2018年8月14日 14時) (レス) id: 6ee86a90be (このIDを非表示/違反報告)
kamiyakazi725 - とても面白かったです!更新楽しみにしています!神威&夢主ちゃん大好きです!神威かっこよすぎて鼻血g← 頑張って下さい!応援してます! (2018年7月23日 22時) (レス) id: 7058246684 (このIDを非表示/違反報告)
きんぴらごぼうちゃん(プロフ) - 吾君トさん» 吾君トさんありがとうございます!更新遅くて申し訳ないです…。なんとか合間を縫って頑張りますので、これからもこの作品をよろしくお願いします!! (2018年6月15日 17時) (レス) id: 6ee86a90be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きんぴらごぼうちゃん | 作成日時:2018年5月30日 18時