【銀魂】兎と武器庫 弍【神威】

第六十三訓 ページ22

先程の意味深な近藤の発言が気になって仕方ない。だが建物内部は徹底的に調べさせた。盗聴器も監視カメラも設置されていなかった。
彼等ならいつ仕掛けてくるだろう。いや、ここは彼等ならではなく私ならどこで仕掛けるか考えた方が早いか。私なら───。

ふと、目の前に広がる無数のモニターを見上げる。A〜D班は既に件の部屋近くまで進んでいる。私は「待ちなさい」と命令した。


『どうかしましたか警部』
「A、B班は隣の部屋から侵入し、ベランダから中を覗きなさい。C班は部屋の外で待機。Dは階段とエレベーターを守りなさい」
『分かりました』


戦闘員達は皆首を傾げながら両隣の部屋へ侵入する。新しいマンションの高層階は入居している住民がいないのが幸いだ。住民がいないということはその分好き勝手動けるというわけだ。
数分してA班の班長から連絡が来る。


『警部、ベランダに到着しましたがカーテンが閉めてあって中が見えません』
「赤外線カメラで中を確認しなさい。さすれば私の言いたいことが分かります」
『承知しました』


両班班長が赤外線カメラで中を確認する。二人の見ている光景はこちらにもモニターで確認できる。周りは息を呑み、私はほくそ笑んだ。


『一、二…いや、五人!! 警部、これは』
「真選組だね。やはり彼等は我々を疑っていた」


赤外線カメラに映った五つの人影。それはおそらく真選組だろう。おそらく既に彼等は桜雅崎くん達と接触し、協力関係を結んだ。彼女達が逃げる時間稼ぎを請け負ったのだろう。だが所詮は犬共の知恵。浅はかなのだ。
五人しかいないのはおそらく我等がただの調査にそこまで人員を割くとは思っていなかったからだろう。


「AからC班は一分後同時に突入。彼等を袋叩きにします。まだ他に仲間がいるかもしれない。見つけたら即刻殺せ」
『承知!』


ピリピリと緊張感が伝わってくる。五人しかいないとは言ってもあの真選組だ。おそらく精鋭達を集めただろう。それは向かわせた戦闘員達も十分承知しているはずだ。
時計の秒針が十二の位置へ近づいていく。十秒前になったときカウントダウンを始めた。


「十、九、八、七…」


裏切った真選組をどうお上に報告しようか。こんなこと幕府に露見すれば真選組は解散だろう。思わず笑みがこぼれ、同時に三秒前になったその瞬間、D班のとあるモニターから『チン』と間抜けた音が鳴った。


『アンタも人が悪いねェ、警部さん』

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