7.土足 ページ7
女が顔を青ざめてその場に固まる。
沖田は女を冷たく見つめると、俺に視線を変えた。
「旦那 最近巷で殺人犯が暴れ回ってるんで気をつけてくだせェ
殺人犯は 女 なんで」
まるで女の事は目に入っていないかのように俺だけを見るその男はそれだけ述べると踵を返して出ていった。
その場には土方だけが残る。
どうすればいいか戸惑う土方がAに目を向けると彼女は顔を逸らした。
「あのさぁ 居座るなら靴脱げよお巡りさん」
はっとした顔で自分の足元を見る土方は慌ててその場で靴を脱いで玄関へと放り投げる。
「いきなり悪かった」
軽く頭を下げたかと思うと土方は俺を見た。
何を悟ったのか
俺は重たい腰を上げて女の頭に手を置いた。
「ちょっとだけ此処で待っててくれ」
そう言って玄関へと足を進める。
土方もAの事を一瞥し、なにか声をかけるべきか悩んだのかぐっと堪えて俺の後をついてきた。
万事屋の外へと出た俺は柵にもたれ掛かり、改めて土方に視線をやった。
「依頼人はてめぇか?」
扉を閉めて俺に向き合う土方に問いかける。
「山崎から聞いたか」
土方は懐から煙草を取り出し口に含むとなんのお構いもなしに煙草に火をつけた。
「ふざけた依頼持ってきやがって
てめぇらは何を企んでやがる
あの女はてめぇらにとって何だ?」
俺の問いかけに土方は煙を一つ吐き目を伏せた。
うっすらと開かれた口からは
思いもよらぬ言葉が次々と吐かれた。
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作者名:捺稀 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年12月7日 0時