24.着信 ページ24
周りの人間が叫び声を上げる。
その場から一斉に人が逃げ出した。
俺はというと、そこに立ち尽くしたままだった為に逃げ惑う人にぶつかられ尻もちをついてしまった。
結局分かっていなかったのは俺だった。
コイツは最初からAの為だけに動いていたのだ。
「どいつもこいつもカッコつけやがって...」
本気で奪い取ろうとしたせいか、
苛立ちと腹立たしさにｷﾞﾘｯと奥歯が軋んだ。
目の前に差し伸べられた手。
その先を目で辿る。
「旦那 急いでくだせぇ
俺だけに命令がくだされてる筈がねぇ
俺に隊士共が向けられたって事は
Aも危ねぇ」
自分が格好悪い。
差し出された手を取り立ち上がった。
「言っとくが 諦めた訳じゃねぇぞ」
憎まれ口の一つや二つ。
聞くつもりのはずだった。
はずなのに。
「旦那 俺ｧ元よりアンタのこと認めてんですぜ」
沖田は口許を緩めてそう言った。
一丁前に格好つけて。
少し苛ついた為に握り拳を作って沖田の頭をどつく。
「ｯｯてぇ...」
痛がる沖田を無視してAの所へ戻ろうとした時だった。
沖田の懐から着信が鳴る。
携帯の表示を見ずに電話に出だと思うと、離れていた俺でも分かるほどの怒鳴り声が沖田の耳を劈いた。
「何処にいるんだ総悟!!」
「いｯてぇな...なんでｨ土方」
どうやら電話の相手は土方みたいだ。
耳から携帯を離して顔を顰めている。
沖田もAの所に連れていこうと思っていた為に少しだけ待とうとした。
だが、
「Aが病院に運ばれたんだぞ!!何してやがる!!」
俺にまで聞こえたその言葉は、
思考回路を狂わせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：捺稀
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年12月7日 0時
