三十九 ページ39
『十四郎ちゃん、私が道開くから蔵場探して』
「…テメェ一人で大丈夫かよ」
『私を誰だと思ってんの?副長補佐だぞ、コノヤロー』
「ハッ、上等じゃねェか。いいか…死ぬなよ、A」
その言葉を合図に私は右足に体重をかけてその場を蹴り、高いその場所から飛び降りる。着地地点には先程とは比にならない浪士達が待ち構えていて、私の足が地についた瞬間一斉に襲いかかってきた。
左足で地面を蹴り、目の前に来た一人を一振りで切る。その隣の男を蹴り飛ばして近くの男どもに当て、後ろからきた男には回し蹴りの後頭っから叩き斬ってやった。その浪士の手から刀が抜け、宙を飛ぶ。それをすかさず手に取れば左手にぎゅっと握る。
「二刀流だと!?」
『二刀流なんてそんな珍しいもんじゃないでしょ?』
「二刀流だとしても相手は女だ!やっちまえ!」
『女だ?…その言葉腹立つんだよ、クソ野郎が!!!』
禿げた浪士の一言に私の理性は切れた。再度握り締めた刀をそのハゲに振り下ろせば一撃。いいのは威勢だけだったらしい。その男を踏みつけ残りの者たちに目を向ける、今から殺すという目を向ければ一瞬怯んだ。その隙に男達の懐に入り込み、一気に腹を掻っ捌く。
『土方ァァァァァ!とっとと走れ!コノヤロー!!!』
「てめェうっせーんだよ!!つか呼び捨てすんな!クソガキ!!」
後ろでモタモタしている十四郎ちゃん暴言を吐けば負けじと返ってくる。一瞬目が合う、お互いの頬が緩んだのが分かった。
『さーて、この人の為にいっちょ暴れますか。』
そんな決意の最中。
空気を切る音が耳に届く。振り向くも間も無く片膝が地についた。
『___ッア!!』
「A!!」
銃弾に後ろから腹を貫かれたのだった。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年8月31日 0時