十九 ページ19
「…ガキに喋ることじゃーねェよ」
『ガキって、私これでも7つだよ?』
「俺からしたらガキだ」
『そのガキに気持ちバレてるのに?』
「…っせェ」
『てかAはとーしろーちゃんより先輩だよ?』
めんどくさいとも言いたげな目を向けて溜息を吐く。そんなことで怯むような私ではないから早く吐けと言うようにじっと見つめる。顔がこっちへ向く気配がない。握り締めた手に思い切り力を込めてやれば、観念したのか彼は一目惚れだと呟いた。
詳しく聞こうとしたが目の前には総悟くんち。
「沖田先輩、稽古の時間ス」
『そーごくん、こんどーさん呼んでる』
「Aはいいとして、てめェ!なんで人んちに来てんだよ!」
「近藤さんに連れて来いって頼まれたっス」
十四郎ちゃんを殴ろうと奮闘する総悟くんを片手で止めながら一緒に行きましょ、先輩なんて最終的には引きずる始末。総悟くんが何かを叫んでいるがそれに耳も貸さず、どんどん先へと行ってしまう。
__先輩相手に何やってんだか…
と7つながらに思っていたのを未だに覚えている。
今にも消えそうになる二人の背中を追う。途中、振り返ればミツバちゃんが楽しそうに笑っているのが見えた。いつもの上品な感じの笑い方じゃなくて声を上げて、年相応の女の子のように。
「てめェ早く離せってんでィ!!!」
「いって…先輩が稽古に来ねェから連れに行ったんだろ」
「うっせーな!なんなんだよお前、俺先輩だぞ!」
「うるせェな、ガキが」
「死ね土方ァァァァァ!!」
「てめェが死ね」
道場までまだ道のりあるってのに取っ組み合いを始める始末。まぁまぁと宥めるも聞く耳を持たず。だんだん私も腹が立ってきて二人に思いっきり拳骨を食らわせた。
『お前らうっせーんだよ!とっとと歩け!稽古の時間減るだろクソ野郎!!』
「「Aさんすんませんしたー!!!」」
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年8月31日 0時