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「やだ、なにあれ、ちょっとみてよ」
「あれだからオタクはイヤよね」
「うちの息子があんな格好してたら
恥ずかしくて街を歩けないわ」
心ない言葉というのはどこにも存在するもので
後ろから聞こえたその悪口は
新八たちの耳にもAの耳にも届いた
誰が聞いても話しているのは
先ほどの新八のことだと分かる
Aは頭に血が上り、言い返そうと振り返る
同じく振り返った新八と目が合う
A「…っ、、、」
そこには、寂しそうに笑って
大丈夫だとでも言うような声が聞こえる
1人の隊員がAに話しかける
「僕ら、ああいうの慣れてるから大丈夫です」
Aを落ち着けるように言ったその言葉は
余計にAを怒らせる
とはいえ、関係のない自分が
これ以上口出すことはできない
グッと堪えて、前を歩く
その夜、新八が帰ってきた万事屋では
妙な空気が流れていた
神楽も銀時も気付いてはいたが、口には出せなかった
A 「なんで言い返さないの…」
夕飯の準備中、Aと新八は台所で話す
新八「あんなの、いちいち気にしてたら
キリがないですよ、、、
それじゃオタクやってられない」
そう言って新八は、笑う
その笑顔にAはもやもやする
A「でも、好きなら堂々としてたらいいのに
間違ってることしてないなら、怒ればいいのに」
新八「Aさんにはわからないですよ
オタクって言うのは
それが間違ってなくても、
そう言う目で見られることなんです」
たしかに、
Aはアイドルを好きになったことがない
気持ちがわからないのは当然だった
けれど、間違っていないのに
それだけの理由で
あんなことを言われ慣れるのは違う
Aは、炒めていた手を止め
新八をまっすぐ見る
A「新八くんは、間違ってない
あんな目で見られるのに慣れないでよ…
自分たちはしょうがないなんて諦めないでよ…」
その顔は新八よりもずっと寂しそうな顔をしていた
新八「……っ、、、」
そのあと、新八はなにも言い返さなかった
Aもそれ以上言うことはなかった
でも、その空気が変わることはなく
1日が終わった
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作者名:おぐら | 作成日時:2019年10月20日 7時