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真選組の門を出る
たった、1週間、、
短い時間で大切なものがたくさんできた
だいすきな人が変わらず迎えてくれる
そんな場所は、きっと人生でそんなにない
そんな場所がここにはできた
私は幸せ者だな
振り返って深く深くお礼をする
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万事屋までの帰り道
なんとなく足が重くて
下を向く
「ありがとな、おばちゃん」
聞き覚えのある声
どこからか香るタバコ
顔を上げるとタバコ屋のおばちゃんから
タバコを受け取るその人と目が合う
「お?」
『土方さん、、
こんなとこにいたんですね!!』
土「ああ?なんか用あったのか」
『私、さっきまで真選組の屯所にいたんですよ!
よかったですここで会えて』
土「屯所にぃ?
何かあったのか!!」
『や、特に大きなことは、、
私、そろそろこの世界ともお別れなんですよ』
土「なにわけの分かんないこと、、、、
そういや、お前、どっかの田舎から来たんだっけ」
『や、田舎じゃなくて、、、まぁ、はい』
土「帰れるようになったのか
よかったな、、、にしても長い迷子だったな」
『あはは、、、本当ですね、
迷子が長すぎてもう路頭に迷い中ですよ』
土「何言ってんだ、
自分家にちゃんと帰れ」
『そうですよね、、
私の家はここじゃないです、、』
正論を言われてなにも言い返せない
帰るななんて言葉を期待してだけじゃないのに
『本当に今までありがとうございました
この前の事件も、、病院まで運んでくれたそうで…』
寂しさを隠してお礼をする
土「そんな、永遠の別れみたいな…
そんなにお前の家田舎なのか…」
哀れみの目がこちらを向く
ちょっと違うけど、ずっと勘違いしてるけど
もう、それでいいや
『田舎です、
次いつここに来れるかわかりません
もしかしたら、もう来れないかもしれないです』
土「そっか、、、」
土「そりゃ、寂しいな」
タバコの火を消して
向き直した土方さんと目が合う
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作者名:おぐら | 作成日時:2019年10月11日 3時