. ページ30
銀さんside
.
(ガラガラ
お「来たね、待ってたよ」
ババアが「そこ」なんて言って顎でさす
すー、すー、、
一定のリズムで息をする女
『世話になったな』
お「世話になったのはこっちさ」
おーい、帰るぞ、なんて言って
揺すってみるけど起きる気配がない
というか、こいつ、酒、飲めたんだな
酒、飲めるような年齢だったんだな
弱いけど
お「銀時、アンタ、この子どうするつもりだい」
『んあ?』
突然振られた質問に答えを探す
『どうするって、、んなもん知らねえよ
帰る方法見つけて帰してやんのが筋だろ』
俺の答えにババアは何も言わない
吸ったタバコをふうと吐く
お「この子は、なかなか大した
客への対応は完璧だわ、
変な客でさえ笑いに変えてしまうわ
愚痴ばっかり言ってた客も最後は笑顔で帰っていくわ
その上、酒が強いフリなんざできるんだからね
あたしゃこの子が完璧すぎて
心の拠り所があるか心配になるくらいだよ」
『なにが言いてえんだ?』
お「兄貴にくらいなってやんなってことだよ
なんでも、幼い妹、弟しかいないらしくてね
周りに年上の奴がいないんだって」
ひどく遠回しに、でもまっすぐ俺の目を見て言う
『んなこたぁ、わかってるよ』
Aをおぶって店を出る
階段を上がりながら
こいつが新八とも神楽ともすぐ馴染めてたのは
姉気質だからか、なんて思う
A「ぎ、銀さん、、、?」
寝ぼけているのか酔っているのかわからない
ぼーっとした声が聞こえる
『おつかれさま、どーだったよ』
Aは、ふふっと笑って
少しだけ俺の肩をギュッと強く持った
A「質素っていいね、貧乏っていいね
江戸っていいね、
ここは、、優しいとこだね
今日1日、幸せだった」
そう呟いた
『そーかよ、お前もとんだ変人だな』
A「みんな、それ言う、、、
もう、、
銀さん、あったかいね、、、」
それだけ言って、すー、すー、と
また一定のリズムが聞こえた
それがなんだか妙にくすぐったくて
むず痒くて、
いつもより力を込めて階段登った
.
31人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おぐら | 作成日時:2019年10月8日 16時