. ページ11
.
もういいです
なんて、言って出てきてしまってから
早数時間
全然、よくない
諦めたからと言って帰れるわけもないし
お腹の虫はさっきからうるさいくらい鳴るし
『なんなんだよ、なんだよこれチクショー』
帰れないことと誰もどうしようもできない
この状況が悔しくて涙が出る
夜の公園で泣く女になんてなりたくなかったのに
『らくちゃん、、会いたいよおらくちゃん、』
親友の名前を呼んでみても
いつもみたいに助けてくれない…
「お嬢さん、大丈夫かい?」
不意に聞こえた
その声はなんだか優しくて
振り返る
『、、、誰ですかあ』
余計に涙が溢れた
「ちょ、泣かないでよ、
なんで余計泣くの?」
おろおろした気の弱いグラサン男
汚い服に伸ばしっぱなしの髭
こんなやつに同情されるほど
私は今惨めなんだと感じたら余計悔しい
「ねえ、出てるからね声
聞こえてるからね全部」
『うっ、、ずみまぜん、、』
溢れる涙をゴシゴシこする
『その、おじさんはなんでここに』
「そりゃ、泣いてる女の子ほっとけないよ」
『そういうのいいんで』
「、、、ここがお家です。」
『あ、ごめんなさい、
私、人の家で泣いてたんですね
勝手にすみません、お邪魔してます。』
「出ては行かないのね」
『はい』
「…まぁいいや
なんか、辛いことあったのか?
ほら、こういうのって自分より辛そうな人になら
話しやすいだろ」
たしかに、なんて妙に納得しちゃって
そのおじさん、、もとい長谷川さんに
全てを話した
「そうか、それは辛いな
辛かったろう、嬢ちゃん」
『Aでいいです、笑わないんですか』
「笑わないよ、だってこんな夜に泣いてて
それが嘘だなんて思わないだろ」
『は、はせがわざーーーん、、、』
今日の長い長い1日で
初めてわかってくれる人に出会った
わかってくれると安心するもんで
途端に悪口も出てくる
『普通、信じるよね、、?!
今日会った人たち誰も信じてくれない
さっき行った天パくるくるバカ野郎だって
そこにいた人たちだって!!
なんなの、あの人、天パなのバカなの天パなの?』
溢れ出るむかつきはイライラに変わる
「天パで悪かったな」
聞いたことのある声に体が飛び跳ねた
.
31人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おぐら | 作成日時:2019年10月8日 16時