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前に進むこと ページ10

夏の暑さが引いてくる頃。往生堂の扉をノックするものがいた。
そう、柊朔だ。



(やっぱりいないかな。)



彼女が引き返そうとしたとき。



「往生堂になにか用かな?」

「わっ?!」



突如として現れた人に驚く。
大声を出した柊朔は口を手で覆う。しかし、咳き込んでしまい…血を吐いてしまった。

それを見て彼女の目の前の人は少しだけ目を輝かせる。
彼女は往生堂の堂主、胡桃だ。



「往生堂へ依頼でもしにきたのかい?君みたいな人は大歓迎だよ!」

「い、いぇ……。鍾離さんに用があって……。」

「なーんだ、違うのかぁ〜。鍾離さんなら今出掛けてるよ。そろそろ戻ってくると思うけど。……ほら。」



柊朔は彼女が指さした方を見る。
そこには紙袋を抱えた鍾離が歩いてきていた。
その隣には、二回目に会った時に見た男の人もいた。

こちらに気がついたのか、少しだけ歩くスピードを上げた。



「柊朔殿。そういえば、もう一ヶ月だったな。今準備しよう。」

「往生堂の堂主〜……。先生に財布を持ち歩くようにちゃんと言ってよ。」

「まさか?!また?!」



柊朔と鍾離の後ろでそんな会話が繰り広げされていたなんて、二人は知らなかった。

胡桃は、頭を押さえていた。そして大きなため息をついた。











「そういえば、最近の調子はいかがだろうか。」

「鍾離さんのおかげで元気ですけど…やっぱり吐くときは吐きます。」

「そうか……。聞き忘れていたが、何て言う病なんだ?」



柊朔は俯いた。
これを言っていいのか、悪いのか。彼女の中で葛藤していた。



「その…あの……。」

「言いたくなければ大丈夫だが……。もしかしたら治せるかもしれないと思ってな。」

「わからないんです。」

「?」



彼女の口から出たのは、“わからない”という言葉だった。
その瞳は微かに涙目になっていた。

けど涙は流すまいと、目を拭った。


彼女は深呼吸をして、自分を落ち着かせた。

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作者名:ふく | 作成日時:2022年8月10日 23時

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