【原神】月の命日 (ページ13)

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「なんでそんな暗い顔をするんですか。」

一人、普通にして話す彼女。
でも少しだけ寂しそうではあった。

「人はいつしか死にます。それを悔やんでもどうにもなりません。一人一人、自分の人生がありますから。前に進まなければ。立ち止まっていても、ただただ時間に流されていくだけです。」

風が、彼女の髪をたなびかせた。
空を見上げて儚さそうな顔をする。

「旅と似てるかもしれませんね。」

彼女は旅人に向かって微笑んだ。

パイモンはどこかムズムズしたのか、柊朔に気持ちをぶつけた。

「お前とは出会ってそんなに経ってないが！やっぱり寂しいぞ……。最後にやりたいこととか無いのか？」

「やりたいこと……。うーん。あ、望舒旅館泊まってみたかったんです！彼処は景色が綺麗だと聞きました！」

「おし！オイラ達と一緒に行こう！道中死なれても嫌だしな。」

「ありがとうございます。」

パイモンと柊朔はワクワクしていた。
旅人は柊朔の為だし、たまにはいいかと微笑んでいた。

「お金は私が全額負担しますので。」

「……あれ。もしかしなくても、柊朔ってお金持ちなのか？」

「いぇ。なんか知らないですけど、旅先で見つけた宝箱に高価な物が沢山あって……それを売ったんです。」

「えぇ？！それはどこだ？！」

お宝に食いついたパイモン。
旅館の話しはどこへ行ったのか。
旅人は、頭を押さえた。そして、パイモンの首根っこを掴んで止めた。

「とりあえず、望舒旅館に行こう。」

「あはは……。そうですね。」

〜〜

「前に進む…か……。」

「どうしたの鍾離先生？」

「……いゃ、なんでもない。」

旅人とパイモン、柊朔は同じ地点にワープした。
柊朔は目を輝かせながら望舒旅館から見える景色を満喫する。

死ぬ前に見ておいて正解だと、思ったことだろう。

「一番上まで行こうぜ！」

「はい！」

三人で、建物内にある階段を上った。

「あぁ…本当に来てよかった。」

そこから見える景色はとっても綺麗で。
彼女の心を満たしていった。

それと同時に、彼女の心には言い表せない、気持ちがぐるぐると渦巻いていた。

「……え？！柊朔泣いてるのか？！」

「大丈夫？」

「……えぇ。」

旅人とパイモンが彼女に寄り添う。

彼女はなにも言わなかった。

いゃ、言えなかった。

更に弱い部分を見せたくはないのだ。