18.この方も……? ページ18
Aside
新「ホラ、謝ってください!」
新八くんがそう促すと、四人は死にそうな声を揃えて
「すみませんでした……」
と頭を床に付けた
『そ、そんな……いいんですよ、私のことは気にせずに……』
妙「駄目ですよAさん、甘やかさないの」
ビシッと私に人差し指を向けて、軽く叱るようにそう言うお妙さん
うーん、甘やかしている訳では……
急にここに来た、言ってしまえば「よそ者」の為にここまでするのもおかしな話
私のことは気にせずに、いつもの皆でいてくれれば良いのに……
妙「あんな悲しそうな顔、見過ごせないわ!……何かあれば、私に言って下さいね」
『っ……ありが、とう……』
一体、いつまで気遣かってくれるのか
慣れない感覚
言葉がうまく出なくなってしまった
でもそれは決して悪いものではなくて
あったかくて、心地好い
……これだけでも、私にとっては十分な幸せかも
「……つーか、アンタは誰ですかィ」
「あぁ、見たことねぇ顔だな」
ふわふわした思考を止めるように、
真選組のお二人が話しかけてきた
そういえば、まだ名乗っていなかったか
『私は、藍沢Aです。実は先日………』
土「ほォ、それは災難だったな」
沖「ここはチンピラやらヤクザやらが大量にいるから、気をつけた方がいいでさァ」
『えぇ……心配してくださってありがとう』
冷酷そうなイメージのあったお二人
話してみると、存外優しくて面白い方だった
……相変わらず、あの二人は敵意丸出しだけれど
神「そうやってAに気に入られようとしても無駄アル! お前らなんかにやらないからナ!」
銀「ハッ!女に飢えてるお前らはさぞ羨ましいだろうなァ〜、ププッ」
土「あぁ!?」
沖「旦那ァ、残念ながら飢えてンのは土方さんだけでさァ」
土「総悟テメェはどっちの味方………っあ」
四人の"痴話"喧嘩を眺めていると
途中で土方さんと目が合った
そしてそのまま、土方さんは慌てたように口元を抑えた
土「あー、悪ィ……またおっ始めそうだった」
さっきまでの強気な口調が消え、
一気に弱々しい雰囲気で謝りはじめる
土「オイ、お前も……」
沖「すいやせんでしたァ〜」
そして気持ちがこもっていないと、また強気に怒りだす
コロコロと、表情が変わる。
『(……この方も、面白い)』
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作者名:よらく | 作成日時:2021年9月7日 20時