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_ 関係〜 ページ11




伊吹希/褪紅様
呼称︰希君

幼少期から、隣同士で笑いあっていた筈の幼馴染。気の弱く常に周囲に畏怖の念を顕にしていた挙動不審な御法のことすらも、笑顔で受け入れ共に居てくれた大事な大事な友人。
しかしながら、その縁は既に数年前に切れてしまっており、この四次元空間で顔を合わせるまでは、互いに遠目に姿を見ることすらもなかった。
同じ小学校で共に育ってきた彼の、唐突に、何故か始まった女装。それを嗅ぎつけた節操なしの同級生達が彼を馬鹿にしては蔑み、やがて遠ざかっていく現場を真横で見てきた昔の弱い御法が、彼に対してそれまで通りに接することが果たしてできていたのかなどは、想像に容易い。声を掛けるにも、掛けられるにも相当な気力を要し、ましてクラスメイトの行き過ぎた揶揄を止める手立てを考えるなど、無論できよう筈もない。彼を見る周りの好奇の視線はどうにもこうにも痛々しく彼に突き刺さっていたし、もしそれがこちらに向けば、御法の精神がどうなるかなどは自身でだってわかっていた。
周りを止められない罪悪感。彼の傷を自分の事のように感じてしまう共感的な苦痛。
一度どこかで見た、女装した彼と共に歩いていた彼の姉君と、きっと恐らくは何かがあったのだろう。あれは彼の趣味でもなければ意向でもないのだろう。そんな憶測もした。目一杯考えた。が、結局だから何なのだ。
いきなり肩にのしかかったその極身近な他人事も、彼の人格形成を歪めた一因であったやもしれない。
この空間での関係は、あまり良好とは言い難い。再会した直後はまだ二人の間に流れる空気も和やかであったやもしれないが、彼と話すうちに御法が半ば投げやりに発した“御可哀想”の六音で、彼の表情は声色諸共一変。今では最早まともに口を利いてもくれなくなってしまった。
昔取った杵柄から見事に彼の地雷を踏み抜いた御法が、辛く当たるようになってくれた彼にどれほどしつこい対応をしているかは、今の特性を顧みればお察し。その度冷たく御法を見るばかりの彼だが、昔の名残もあってか時には少し口を開いてくれることもあるよう。



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褪紅(プロフ) - 確認しました!特に不備等見当たりませんでしたので、受け取らせていただきます。なるほど、これぞ新しいナルシズムですね……(?)ヘルプの際は何卒よろしくお願いします……関係組み・派生作品作成等お進みください! (2022年8月13日 20時) (レス) @page6 id: dacdd01a78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玲楓(れいふう) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年8月13日 19時

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