【浦風藤内の場合・壱】 ページ8
何度言ったらわかるんだ。
何度教えれば頭に叩き込めるんだ
藤内「また、ここから出ようとしたろ。いい加減にしろ。探して捕まえる俺の身にもなれ」
腕を組みながら文句を言うとAは俯いて何も言わずに、静かに座ったまま宙を眺めていた
藤内「はぁ。本当にAはバカだな」
徹底的に目を合わせないAに痺れを切らし、顎に手を添え、顔を無理矢理上に向かせる
驚いた目と目が合い、何となく気分が良くなった
藤内「人が話してるのに、目を合わせないなんて、、Aは礼儀も知らないんだな。本当に、俺以外には見せられないくらいに不作法なやつだ」
涙を浮かべる目に、怯える表情に、反論しようと口を動かすその仕草に
どうしようもなく胸が高鳴る
藤内「喋れないだろ?忘れたの?喉が潰れたことは衝撃的で覚えてると思ってた」
あの時のAは本当に最高だった
呆然と、絶望に染まっていく表情に、喉を意味もないのにさする必死な姿
藤内「あ!!そうだ。そんなに脱走しようとする行儀の悪い足なんかいらないよな!」
瞬間、必死に手足をばたつかせて暴れるAに驚いて隙ができてしまった
呼吸がままならないのか変な呼吸音をさせながらAは俺を走り抜いた
藤内「…………チッ」
ったく。友人の気持ちがわかってくる気がする
探すのは、求める側は、いつも辛いものだ
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藤内「最近、調子はどうだ?」
忍術学園を卒業してからと言うもの、俺たちはあまり会わなくなった
と言っても、時々集まっては思い出を語り今を語るのだけれど
作兵衛「あぁ、だいぶよくなった。アイツらもだんだん落ち着き出したから、そろそろ事情をちゃんと説明して、一緒に修理屋とかやって生活してこうかと思ってるところだ」
藤内「まぁ、よかったよ。もう急に押しかけて来たりするなよぉ?俺の布団がなくなる!」
作兵衛「あんときは、本当に助かった。俺たちが生きてるのも藤内のおかげだな」
藤内「大袈裟だなぁ。俺は布団を出しただけで、あとは薬草とお前らの治癒力だよ」
先日、と言っても一ヶ月くらい前だろうか
久しぶりに見た同級生たちはボロボロで、どう探し当てたのか俺の家に匿われに来た
作兵衛は左門と同じ城に就職したと聞き
三之助はどうなったのだろうと送り返すと、その答えが返って来て驚いた
『三之助は俺たちと敵対する城に就職した。』
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夢少女リノ - 病んでれぇ…うぉぉぉぉおお!!!!好きだァァァ! (2017年11月26日 18時) (レス) id: f529f52eea (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2017年11月26日 17時