嫌い 4 ページ4
夏油side
『夏油君は私との任務初めてっすよね！宜しくお願いいたしやす！！』
「何でヤクザみたいな挨拶をしてるんだい」
『若頭に挨拶するんが道理っす！』
「…良いから行こうか」
入学して1週間が過ぎた頃、Aとの初任務があった。
まぁコミュ力の塊みたいな彼女と私が仲良くなるのは必然的で、つられた硝子とは別に悟はAと距離を開けていた。
『夏油君とは共通点あると思うんだ』
「共通点？」
『だってお互い髪が黒くて長いでしょ』
「ふふっそれで親近感が湧いているなら君は相当凄いね」
『いま貶したよね？』
最初に会った時から少し変わっている雰囲気の彼女は美人な見た目とは違って子供だ。
結構バッサリ言うって？
事実、彼女は呪術以外…つまり恋愛などに関しての知識が子供レベルだからだよ。
「傑と呼んでくれないか？」
『じゃあ私の事はAって呼んで！』
少し遠い任務先に向かう車内で何となく意地悪をしてみようと思った私からの質問に普通に返して来た。
バレてないと思ったのかい？
窓に写る彼女の顔が赤い事に気付かないフリをして少し笑ってしまった。
同時に可愛いと感じる自分に驚いたけどね。
「Aの術式をあまり分からないんだ。説明を簡潔に頼んでも良いかい？」
『呪力を炎にするんだよ』
「簡潔というか簡単だね、ありがとう」
正直言うと馬鹿に見える彼女だが、目的地…今は使われていない神社に着けば私より先を進むから驚かされる。
『傑はここの呪霊も食べるの？』
「呪霊の種類にもよるかな」
『あ、出て来た』
鳥居を抜けてすぐに目の前に出て来た呪霊はやはり1級クラスだ。
それに臆せず近付いてく彼女は青い炎でソレを包み込むとすぐに仕留めてしまった。
仕事が早いな… アレ……？
『すぐっる！！』
「すまない！」
おかしい。
報告では1級クラスが1体のはず。
それなのに目の前には特級に近い奴が笑っている。
ソイツの攻撃から私を青い炎で守った彼女は、少し焦った顔をした。
『走って逃げて傑』
「出来ないよ」
『…道は作るから』
「了承出来ない」
あからさまな溜め息を吐いたAは急に制服の上を脱ぐとキャミソールにスカートの状態でニヤリと笑った。
「なっ！A服は！？」
『燃えちゃうから…傑も少し離れてね』
「わ、分かったよ」
『ありがとう』
彼女の胸元の術式に魅せられた瞬間、私は彼女から距離を取った。
『活火激発』
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作者名：heram | 作成日時：2021年3月4日 23時
