ペットショップの捨て猫さん【羽宮一虎】

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『美崎ー！！飲んでるか！？』


「飲んでるよ〜」



会社の飲み会。


ガヤガヤとする店内で、営業の同期が話しかけてくる。


もうかなり酔ってるし…最悪。



『お前はさ〜そろそろ結婚とか考えない訳？子供はいいぞ〜』


「また子供の話？本当親バカだね〜」



この人は、最近子供が出来たから、会う度に子供の自慢をしてくる。


別にそれはいいけど、毎回彼氏がどうのとか説教してくるのは辞めて欲しい。



『美崎さんなら引く手あまたでしょ』



別の後輩にそう言われるけど、正直結婚とか想像できないんだよね…。


てゆうか、誰かと一生一緒にいる覚悟なんてできない。



「彼氏とか結婚とか、今は興味無いので…。」



この人なら一生愛せる！って人に、出会えるなら出会ってみたい。


それか、判断力が鈍ってバカになれるくらい好きになれる人。


今は1人でも、全然生きていける時代だ。


25歳を迎えて、周りは結婚ラッシュだけど…

周りの人見ても、結婚願望ないしなぁ。



『美崎はサバサバしすぎなんだよ！黙ってれば可愛いのによ〜』


「うるさいなぁ、別にいいでしょ。」


『本当勿体ねぇよ、お前の顔ならいつでも彼氏くらいできるのに』



…そもそも、人生恋愛だけが全てじゃないし。


もっともっと楽しいことあるもん。


周りに強制されるのは、嫌いだ。


それこそ、今は飼ってる愛犬がいればそれで幸せだから。



『てかそろそろ店閉まるよな〜お開きにするか』



時刻は、日付が変わった頃。


いつも飲み会は息が詰まる。


噂話と、恋愛の話しかしないんだもん。


でも、私も一応役職貰ってるから出ない訳にはいかないし。



『美崎さん家どこら辺ですか？』


「え？あー…こっから歩いて30分くらいかな」


『危ないんで送っていきますよ…！』



後輩の男の子がそう言ってくれるけど、私はそれどころじゃなくて。


店を出たところで、きょろきょろと辺りを見回す。


駅前の居酒屋ってここら辺しかないから、タロウちゃん、忘れてなければ近くにいるとは思うんだけど…。



「私連れがいるから…大丈夫、ありがとう」


『え？連れって…』



その時、少し離れたところでガードレールに寄りかかる彼を見つける。



虎「Aちゃん！」



待たせてしまった申し訳なさと、

本当に来てくれたことへの嬉しさが入り混じる。



「すみません！私はここで」



私は皆に会釈をして、一目散にタロウちゃんの元へ駆け寄った。

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