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「ねぇ、あの子…」
「小学生じゃないの?」
私の方を見てひそひそと話すJKが目に付く。
怪訝そうな顔をされるのも、羨ましがられ疎まれるのも、もう慣れている。
それでも、うざいわアホども!と何度言いたいと思ったことか。まあ言ったことはないけど。
ちっちゃくて何が悪いのよこんちくしょう高身長爆ぜろ。私だって立派なJKだわ。
…こほん、とにかく、朝から機嫌が悪くなったのは確かなので、まだ差す必要のない傘を広げようとした。
だがしかし。
_____やらかした。
なんと傘を忘れてしまったではないか。
母さん、妹さん、今日は最悪な日になりそうだよ。
フラグが立ってしまったかと思ったが、朝のあれ以降はいつも通り何事もなくて、放課後に。
めっちゃほっとしてます、はい。
春とはいえ、西に傾いた太陽が己の存在を激しく主張してくる今日この頃。なんて迷惑な。
そんな中、男子バレーボール部の選手達は外で走りこみをしている。マネージャーの先輩方は選手にタオルとかスポドリとか配っておられる。
傘を忘れた私はひとり、体育館(日陰)でお留守番だ。
「まぁ、ボールの空気入れとかちゃんとやってるけどねぇ」
誰もいない用具室で呟いてみた。あっ虚しいだけだこれ。
その後は黙々と作業を続ける。
あ、このボール破けてるわ。処分処分〜。
こっちのボールは空気抜けすぎぃ!しょぼくれモードか!?
…なんてことをしてるうちに、ドタドタと足音が聞こえてきた。みんな体育館に戻ってきたようだ。
「Aちゃーん、ミーティングやるよー!」
とマネの先輩である雀田さんに呼ばれる。
が、生憎こちらの任務が終わっていない。
「すみません、あと五、六個で終わるので先に始めてください!」
「大丈夫〜?手伝おうか??」
すると、これまたマネの先輩である白福先輩のおっとりした声が。
…?手伝おうか…???
な、な、な、な、なんと!!?
手伝ってもらうなんて滅相もない。先輩方は外で忙しなく働いていたというのに!
「いいいいいいえ滅相もございません!のろまですが私の任務ゆえ!きちんと最後まで遂行させていただきますすっ!!」
「了解〜」
「こっち待ってるから焦らずやりな!」
「し、しゃい!」
焦らずと言われても待っていて貰ってる手前そんなことは出来ない。急がねば。
笑い声が聞こえるのは気のせいだ、多分。
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