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【18】
どうしても夜が良かった。それはAと初めて会ったのが星の綺麗な夜であったからなのか、それとも初めてAの愛に気づけたのが、蜃気楼のような夜であったからなのか、レオナには分からなかった。それでもAを思い出した時いつも彼女がいるのは夜の空なのだ。
彼女の白い肌が窓からさす月の光で一等乳白色にうっすらと光っていた。月の光が明確に彼女の輪郭線をなぞっていた。ヴェールの奥から彼女の黒い瞳が俺を見据えていた。
「ーー幸せな時も、困難な時も、健やかなる時も、病める時も、豊かな時も、貧しい時も、互いを愛し、死が二人を分つまで慈しむことを、誓いますか」
「ああ、誓う」
「ええ、誓うわ」
彼女の細い指に指輪を通す。銀が腕で真ん中には高貴に佇む金剛の指輪だ。Aは目を伏せてその様を見ていた。長い睫毛が頬に影を落とした。指輪の交換が済み、Aはそっとかがんだ。
その純白のヴェールに手をかけて、ゆっくりとそれを上げる。上品に化粧をされた彼女の顔がはっきりと捉えられた。Aのちょうど顔と首の境に手を置き彼女にゆっくりと近づいた。映画のワンシーンのように彼女が瞼を下ろす。
陽だまりのような熱が、自分の唇へと移る。
ほんの短い時間が永遠のようだった。Aと離れた時、ぱちりと彼女と目が合った。内側から花弁が色づく時のように彼女の頬がじわじわと赤みを帯びる。Aは目を逸らした。
Aのこんな顔を見るたびに俺は心に朗らかな灯がついたようになり、幸福感を噛み締めるのだ。Aが俺を見て破顔した。目尻が下がり顔に花弁のような皺が寄った。ふふふ、と鳥が歌うような柔らかな笑い声がした。
これは最早呪いではないかとすら思う。どう転ぼうがAに対しての愛おしさが魂の底から絶叫するように溢れ出る。指の先までぴかぴか輝いて見える。どんなに星屑が白光を伸ばそうと、俺はすぐにAの姿を見つけられる。
(希わくば、星のもとにて死んでしまいたい)
確かに彼女の瞳には星空があったのだ。どこまでも遠く、どこまでも優しく、何よりも綺麗な星空が。何処へ行こうが俺の居場所は彼女のいる場所なのだ。
・
昔々、あるところに綺麗な黒い瞳の魔女様と、翠の瞳の獅子様がいました。
こんな言葉から始まる御伽噺。このお話を閉じる言葉はまだない。二人は二人で物語の続きを紡ぐ。
それでも、一番最後はきっとめでたし、めでたし。
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華陽(プロフ) - ハクグンさん» はじめまして、コメント本当にありがとうございます。自分の中での解釈違いと日々格闘しながら書いてきた話にコメント頂いて本当に嬉しいです。今後ともぜひご贔屓お願いします。ハクグン様のご期待に添えますよう日々精進いたします！ (2020年9月23日 15時) (
レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - あと作者さんほんと感謝しかないありがとうございます絶対に無理しない程度に更新頑張ってください楽しみにしてます (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - うわもうレオナさん好きすぎるほんと好き愛してる。星空の魔女様、どうか、どうか、レオナさんに気付かせてあげて。貴女の一番は彼でしょう？寂しがってる、勘違いしてる。だから、気付かせて。貴女は彼を愛している。 (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
定期テスト攻略ワーク。 - 六条さん» コメントありがとうございます！そんな感想を頂けて幸いです。先行きの見えない連載ではありますが、今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2020年9月8日 22時) (レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
六条(プロフ) - コメント失礼いたします！温和で優しくどこかロマンチストさも持ち合わせた星空の魔女様と、そんな彼女に対して心を開いている様子のレオナくん。これから二人がどんな物語を紡いでいくのか、目が離せません！素敵なお話をありがとうございます(´；ヮ；｀) (2020年9月8日 21時) (レス) id: fcb5bad142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華陽 | 作成日時：2020年9月6日 11時
