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【12.Wilderness Rebel】
「寮長、あんたが本気を出せば十分ディアソムニア寮と戦えるはずだ！3年前のあんたのプレイ、今でも覚えてる。俺は……っ！」
「新入りが知った口を利くんじゃねぇ！本気を出せ？馬鹿馬鹿しい。本気になったところで、何も変わらねぇよ」
本気で努力した人が報われるなんて、夢みがちな適当な輩が吐いた妄言だ。だってそれが本当なら、俺はとっくに一番になれていた。
「……失せろ。明日の朝日が拝みたいならな」
曲がったことが嫌いな正義感あふれる漢。嫌に兄の姿が浮かぶ。彼だってレオナからしてみればよっぽど理不尽に曲がって捻れた人だ。恵まれていることが当たり前だと思っているから、そうやって俺のことを諌められる。
ーー「レオナ……たとえ王になれなくとも、お前は賢い。この国のために出来ることがたくさんあるはずだ」
「……チッ、あの一年坊……兄貴みてぇなこと言いやがって」
どうせ叶わない夢に向かって努力したところで一体なんになるというのだろうか。わかるならどうか教えてほしいものだ。小さい頃、努力したレオナに残ったのは気管の奥に張り付いたような虚しさだけだった。渇望しようと手に入れることなどできないのだという虚しさだ。
相変わらず月がよく見えた。結局のところ自分は三日月を見ながら満月に焦がれることに変わりはないのだ。そこにあるのは変わらない事実であるのに、自分はそこに足を踏み入れることはできない。目の前で渇望したその夢を簡単に享受されているのを拍手しながら見るしかないのだ。
澱んだ悪意を煮詰めたような黒が、ぽたりぽたりと自分の中に落ちていく。それを防ぐ術など知る由もなく、Aからの優しさを受け取るための器が最も簡単にその黒で満たされていく。イライラするほど不愉快なのに、どうにも自分の感情と溶け合うようにして馴染んでいくのだ。
ーー「ねぇレオナ、あなたって本当にすごいわ」
そしてその黒に浸かっていくほど俺の試合を見た後、そう言って無邪気に笑うAからどんどん遠ざかっていく。光が強くなるほど、その分影は濃くなっていく。きっと、最初からうまくいくわけなんて無かったのだ。生まれた順番も間違えて、あのよるの偶然を必然であるかのように間違えた。
(俺は一生、王になどなれぬ身の上、ちょうどいいだろう？)
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華陽(プロフ) - ハクグンさん» はじめまして、コメント本当にありがとうございます。自分の中での解釈違いと日々格闘しながら書いてきた話にコメント頂いて本当に嬉しいです。今後ともぜひご贔屓お願いします。ハクグン様のご期待に添えますよう日々精進いたします！ (2020年9月23日 15時) (
レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - あと作者さんほんと感謝しかないありがとうございます絶対に無理しない程度に更新頑張ってください楽しみにしてます (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - うわもうレオナさん好きすぎるほんと好き愛してる。星空の魔女様、どうか、どうか、レオナさんに気付かせてあげて。貴女の一番は彼でしょう？寂しがってる、勘違いしてる。だから、気付かせて。貴女は彼を愛している。 (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
定期テスト攻略ワーク。 - 六条さん» コメントありがとうございます！そんな感想を頂けて幸いです。先行きの見えない連載ではありますが、今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2020年9月8日 22時) (レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
六条(プロフ) - コメント失礼いたします！温和で優しくどこかロマンチストさも持ち合わせた星空の魔女様と、そんな彼女に対して心を開いている様子のレオナくん。これから二人がどんな物語を紡いでいくのか、目が離せません！素敵なお話をありがとうございます(´；ヮ；｀) (2020年9月8日 21時) (レス) id: fcb5bad142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華陽 | 作成日時：2020年9月6日 11時
