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【11.Gold dust】
彼を自身の右腕のような位置に据えてからもう1年が経とうとしていた。ラギーはハイエナの獣人で、金に目がない。入学してすぐに目をつけていたのだが、それは正しかったとレオナは思った。何せ、彼は金しか信用しない。そちらの方が都合がいいとレオナは思う。見返りも求めず善行を働くのはよっぽどの馬鹿者か神様だけだ。
「レオナさん！ちゃんと砂払ってからベッドに乗ってください、洗うの誰だとおもってるんすか！」
「ハッ、ラギーだろ」
少々小言が煩いが、それにさえ目をつぶれば使える奴だと思う。ユニーク魔法だって、役に立つ、とレオナは考えふせていた。
「あ、そういえば今日はあの日ッスね」
洗濯物を籠に取り込んでいたラギーがふとそう言った。レオナは今さらながらに今日は自身の誕生日だったと思い出した。だからと言って嫌われ者の第二王子の誕生日パーティーなんてものは国では行われないし、単純になにかスラムの間での記念日なのだろう。
「…なんの日なんだ？」
純粋な疑問だった。レオナにとって知らないことを知るのは楽しいものだった。それは王城の歴史から街の風習まで多岐に渡る。
「今日は街に金が降りる日なんです。まあ、レオナさんにはわかんないと思いますけど、俺らスラムの人にとっては一年で一番の日なんすよ。風に乗って運ばれる大小の金をかき集めるんす」
「時々宝石なんかも混じってました。一回大きなルビーなんかも降りてきました」
「ふうん、そうなのか」
レオナはAのことを思い出した。ラギーが金や宝石だと称するそれは、もしかすると彼女のものかもしれないと思った。Aが自分のために降らせてくれたあの星たち。
「ちょっと、レオナさん、外外！」
ラギーが一際大きな声を上げた。洗濯籠が床に落ちた音がした。
「あ、なんだよめんどくせえ」
そんなこともお構いなしにラギーはレオナの体を引っ張り外へと連れ出す。百獣の王が情けない姿で地面を引き摺られた。
「ーー流れ星か」
故郷によく似た空を流星群が覆った。
「一回だけ、こんな夜があったっスよね。スラムの中じゃ、流れ星なんてものは人が死んだ後落ちるものだから不吉だって言われてるんですけど、ここまでだと見惚れちゃいますね」
レオナは手すりに額を付けて、顔を隠すようにした。そうして、長く息を吐いた。この星が他でもない自分のために振らされたものだとしたら、今度こそ彼女の顔が見られないと思った。
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華陽(プロフ) - ハクグンさん» はじめまして、コメント本当にありがとうございます。自分の中での解釈違いと日々格闘しながら書いてきた話にコメント頂いて本当に嬉しいです。今後ともぜひご贔屓お願いします。ハクグン様のご期待に添えますよう日々精進いたします！ (2020年9月23日 15時) (
レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - あと作者さんほんと感謝しかないありがとうございます絶対に無理しない程度に更新頑張ってください楽しみにしてます (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - うわもうレオナさん好きすぎるほんと好き愛してる。星空の魔女様、どうか、どうか、レオナさんに気付かせてあげて。貴女の一番は彼でしょう？寂しがってる、勘違いしてる。だから、気付かせて。貴女は彼を愛している。 (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
定期テスト攻略ワーク。 - 六条さん» コメントありがとうございます！そんな感想を頂けて幸いです。先行きの見えない連載ではありますが、今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2020年9月8日 22時) (レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
六条(プロフ) - コメント失礼いたします！温和で優しくどこかロマンチストさも持ち合わせた星空の魔女様と、そんな彼女に対して心を開いている様子のレオナくん。これから二人がどんな物語を紡いでいくのか、目が離せません！素敵なお話をありがとうございます(´；ヮ；｀) (2020年9月8日 21時) (レス) id: fcb5bad142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華陽 | 作成日時：2020年9月6日 11時
