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【7.Unhappy Birthday】
空は一瞬だけまるで火が燃えているかのような鮮やかな赤になり、陽の沈んだ荒野は薄暗く静寂なものへと変わった。その光景をレオナは頬杖をついて見ていた。宵闇はそっとなでるようにして空を覆い、木も草も建物もを黒に沈めた。
ふと、奥の方に光が流れた。光は尾を弾きながら空を泳いだ。Aだ、レオナはそう思って勢いよく立ち上がった。外へと身を乗り出すようにしてその光を目で追った。だんだんとその光が大きくなって、レオナの目が正確に彼女の輪郭を捉えた。
「…遅い」
「ごめんなさい。準備していたの」
彼女はその白く細い腕でレオナを引き上げ箒の後ろに乗せた。突然の事に驚いたレオナは声を上げた。
「急にあぶねえんだよ、怪我したらどうする」
「うふふ、ねえ、レオナって本当にかわいいのね」
レオナの言った言葉が自身の心配をするものであった女は味を占め嬉しそうに笑った。
「なぁ、どこいくんだよ」
「内緒よ。ほら、落ちないように気をつけて」
Aは子供のように口角を上げて羽毛のように笑った。レオナは彼女の体にそっと腕を回した。レオナは嬉しくてたまりなかった。彼女はよそからの心を拒絶していた自分の心の隙間を縫って入り、その月明かりのような柔らかなもので自分を包んでくれた。彼女の熱に触れることだけで胸が締め付けられて困ってしまうとレオナは情けなく、幸せそうに笑った。
「ほら、ついたわよ」
レオナは飛んでいる最中のことを覚えていなかった。体に残るのはえもいわれぬ高揚だけだった。彼女が箒でレオナを連れてきたのは、城から遠く離れた崖の上だった。
(ーー月が、手に入りそうだ)
それ程までに月が近かった。月の光は蒼く、月の表面の模様までもがはっきりと目視でき、あたりは広い月明かりに照らし出されていた。Aのようだとレオナは思った。月の光は昼間の太陽のように容赦なく照るものではなく、ぼうっと照らすような、そんな光だった。あたりの星は、心無しか小さく見えた。
「綺麗でしょう、お月様」
「ああ、綺麗だ」
そう言ってAが月を見上げた。レオナはその動作を見ていた。彼女の頬に月光が当たり、彼女の肌を人形のようにした。愛おしいと、レオナはそう思った。
「お月様が今日こんなにも綺麗なのは、レオナのせいよ。私、貴方にはなによりも美しいものを見せたかったのだけれど、貴方の月が、一番綺麗だから、困ったわ」
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華陽(プロフ) - ハクグンさん» はじめまして、コメント本当にありがとうございます。自分の中での解釈違いと日々格闘しながら書いてきた話にコメント頂いて本当に嬉しいです。今後ともぜひご贔屓お願いします。ハクグン様のご期待に添えますよう日々精進いたします！ (2020年9月23日 15時) (
レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - あと作者さんほんと感謝しかないありがとうございます絶対に無理しない程度に更新頑張ってください楽しみにしてます (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - うわもうレオナさん好きすぎるほんと好き愛してる。星空の魔女様、どうか、どうか、レオナさんに気付かせてあげて。貴女の一番は彼でしょう？寂しがってる、勘違いしてる。だから、気付かせて。貴女は彼を愛している。 (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
定期テスト攻略ワーク。 - 六条さん» コメントありがとうございます！そんな感想を頂けて幸いです。先行きの見えない連載ではありますが、今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2020年9月8日 22時) (レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
六条(プロフ) - コメント失礼いたします！温和で優しくどこかロマンチストさも持ち合わせた星空の魔女様と、そんな彼女に対して心を開いている様子のレオナくん。これから二人がどんな物語を紡いでいくのか、目が離せません！素敵なお話をありがとうございます(´；ヮ；｀) (2020年9月8日 21時) (レス) id: fcb5bad142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華陽 | 作成日時：2020年9月6日 11時
