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【5. Death of the lion】
夕焼けの草原の国王が死んだ。老衰による死であった。獅子らしく夕焼け空のような鬣も日を追うごとにくすんできていたので、別に急な出来事ではなかった。王は、城から少し離れた場所に埋められた。そこは先代達の眠る丘であった。そこからは金剛のような夕陽が見える。
多くの人が、涙をこぼした。王は猛暴であったが、王宮内のたくさんの人に慕われていた。彼自身がギラつく太陽のようであった。
(最後までずっと「王」だった)
ハンカチで目元を押さえる家臣たちを見て、レオナは漠然とそう思った。レオナは一度として彼から息子として接されたことがなかった。レオナがユニーク魔法を得る前でさえ公務で忙しいと相手にされることはなかった。
レオナはちらりと兄を見た。眼球の表面に薄い膜が張っていたが、そのオレンジの瞳から涙が落ちる前にファレナは目を瞑った。
(もう、王だもんな)
自分からそんな思考に走るのだから、どうしようもない。それでも、次の王がファレナであることは誰がどうしようと変わりない。
(ああ、鬱陶しい)
次の王もまた夕焼けをそのまま写したような鮮やかな鬣と、瞳を持っていた。見た目すら、二番手。レオナは不快感に眉を潜めた。
もしファレナがあの時の自分のように使えるようになった魔法を父に自慢しに行っていたとしたら。王は手を止めしゃがんで言うのだろう。よく頑張ったな、流石、俺の世継ぎだ、と。レオナは羨ましかった。誰からも愛される兄が。
いつの間にか送別の儀は終わり、夜になっていた。王は星になった。Aの懐へと還っていった。昼間だけでは飽き足らず、王達は夜までを侵害する。
「浮かない顔ね、レオナ」
いつものように変わらぬ瞳で彼女はレオナに声をかけて、また図々しくバルコニーから部屋に上がり込んだ。
「…星になったら、どうなるんだと思う？」
「ガスで燃えて死んでしまうわね。二度手間よ」
「…オレのことを星って言ったくせに」
「冗談よ。さあ、お空から見守ったりするんでしょうかね。誰が星になったとしても結局星は星で変わりないのだからなんでもいいんじゃないかしら」
興味がないわ、と彼女は言った。その言葉にレオナは少なからず驚いた。
「私としては、お空の星が増えたら嬉しいわね」
「不謹慎すぎるだろ」
くすくすと笑いながら彼女は謝罪した。王が生きていたら不敬罪になってしまったに違いない。
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華陽(プロフ) - ハクグンさん» はじめまして、コメント本当にありがとうございます。自分の中での解釈違いと日々格闘しながら書いてきた話にコメント頂いて本当に嬉しいです。今後ともぜひご贔屓お願いします。ハクグン様のご期待に添えますよう日々精進いたします！ (2020年9月23日 15時) (
レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - あと作者さんほんと感謝しかないありがとうございます絶対に無理しない程度に更新頑張ってください楽しみにしてます (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - うわもうレオナさん好きすぎるほんと好き愛してる。星空の魔女様、どうか、どうか、レオナさんに気付かせてあげて。貴女の一番は彼でしょう？寂しがってる、勘違いしてる。だから、気付かせて。貴女は彼を愛している。 (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
定期テスト攻略ワーク。 - 六条さん» コメントありがとうございます！そんな感想を頂けて幸いです。先行きの見えない連載ではありますが、今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2020年9月8日 22時) (レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
六条(プロフ) - コメント失礼いたします！温和で優しくどこかロマンチストさも持ち合わせた星空の魔女様と、そんな彼女に対して心を開いている様子のレオナくん。これから二人がどんな物語を紡いでいくのか、目が離せません！素敵なお話をありがとうございます(´；ヮ；｀) (2020年9月8日 21時) (レス) id: fcb5bad142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華陽 | 作成日時：2020年9月6日 11時
