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【0. Once upon a time . 】
綺麗な星空を見上げて、女は1人物思いに耽る。手元には装飾の剥げた分厚い本を持っていた。柔らかそうな女の黒髪と、闇を全て閉じ込めたような黒い瞳が、星々の僅かな煌めきを受けて輝いていた。
(そろそろここから移動してみようかしら)
女は古より生きる魔女であり、ここ何百年かはずっとこの森の中でひっそりと暮らしていた。深々とした萬緑の中で動物たちと取り止めのない日々を過ごしてきていたが、女は人ーとりわけ子供を可愛がるのが好きだった。無論、座っていれば甘えるようによってくるリスやウサギも愛おしいが。
(ーさて、次はどんな所がいいか)
ふと、女は自分の持っている本に目線を落として、閃いた、とでもいうように笑った。
(そうだ、この本を手に入れた、あの場所にしましょう)
思い立ったが吉日、女はペンをそっと荷物に向けて振った。きらきらと星屑のような粉が散り、ごちゃごちゃとしたそれらが消えた。野生の勘か、女がどこかに行こうとしているのを誘った動物たちはこれでもかと言うほど女のローブをひっぱって彼女を引き留めようとしている。
(あらあら、可愛い子たち)
女は丸い目を細めて笑い、しゃがみ込んで動物たちの頭を撫でた。動物たちが安心したのも束の間、女は「じゃあ、いくわね」とすくりと立ち上がり、箒にまたがり星空の向こうへむかって飛んでいった。女は優秀な魔女であったため、魔法を使い転移するのはお手の物であった。だがしかし女は歳に似合わずロマン的な思考の持ち主だったので箒を使用して飛んでいくのが常であった。
(まあ、ここは星が綺麗だわ)
女が森をたちしばらくした後、控えめだった星たちが主張を始めた。ぴかぴか、ぱちぱち、なんとも健気に光っている星たちはそれは大層美しかった。
(魔力が溢れているのね、素敵だわ)
ここら一帯が、暖かな魔力で満ちていた。余程魔法を持った者が誕生したらしい。女はふわりと砂の上に降りた。頬を撫でる風は冷たかったが、女の心は暖かであった。命が芽吹く瞬間はどんなものより一等素晴らしい事だと花咲く気分であった。
(願わくば、その子に幸福があります様に)
女は星に向かって祈った。それに呼応するように翡翠の星が光を発した。今日は7月27日。夕焼けの草原に獅子の子の生まれた日であった。
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華陽(プロフ) - ハクグンさん» はじめまして、コメント本当にありがとうございます。自分の中での解釈違いと日々格闘しながら書いてきた話にコメント頂いて本当に嬉しいです。今後ともぜひご贔屓お願いします。ハクグン様のご期待に添えますよう日々精進いたします！ (2020年9月23日 15時) (
レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - あと作者さんほんと感謝しかないありがとうございます絶対に無理しない程度に更新頑張ってください楽しみにしてます (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ハクグン(プロフ) - うわもうレオナさん好きすぎるほんと好き愛してる。星空の魔女様、どうか、どうか、レオナさんに気付かせてあげて。貴女の一番は彼でしょう？寂しがってる、勘違いしてる。だから、気付かせて。貴女は彼を愛している。 (2020年9月23日 9時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
定期テスト攻略ワーク。 - 六条さん» コメントありがとうございます！そんな感想を頂けて幸いです。先行きの見えない連載ではありますが、今後ともどうぞよろしくお願いします！ (2020年9月8日 22時) (レス) id: a1497b6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
六条(プロフ) - コメント失礼いたします！温和で優しくどこかロマンチストさも持ち合わせた星空の魔女様と、そんな彼女に対して心を開いている様子のレオナくん。これから二人がどんな物語を紡いでいくのか、目が離せません！素敵なお話をありがとうございます(´；ヮ；｀) (2020年9月8日 21時) (レス) id: fcb5bad142 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華陽 | 作成日時：2020年9月6日 11時
