病弱な妹を持つ私【青】【黄】

No.42 ページ46

Aside


ころん「久遠、この道であってる？」

久遠「うん！住所的にはあってるよ！たぶん！」



さっきからスマホを挟んで起こる会話。



るぅと「ぼくたち、今どの辺にいるんでしょうか…」


るぅ兄もその会話に参加してしまった。



体育祭を抜けられたのはいいけど、今度は道に迷ってしまったらしい。


『私に地図見せて？…あぁ、やっぱり。道に迷ってるね』


久遠「ええっ！どうするの？」



どうするもなにも…、一回戻るしかないでしょ



るぅと「…ぼくたち、会えるのでしょうか。お母さんに」



るぅ兄がポツリとこぼした言葉で、久遠ところ兄は口を閉ざした。



…変な空気になっちゃったじゃん！るぅ兄のせいで！



久遠「あっ、あのさ…。ずっと言おうか、悩んでたことがあったんだけど…」



ころん「ん？なに？」



久遠「…みんな、お母さんから手紙もらったでしょ？あれ、なんて書いてあったの…？」



「「『！！！』」」



ころ兄もるぅ兄も、もちろん私も、顔がこわばった。



だって、これまで一回も話したことなかったんだよ？


みんな、口に出しちゃいけないのを空気でわかってたから



るぅと「ぼくは、正直に言います。お母さんは、ぼくの優しいところが好き、と書いてありました」


それと、体調に気をつけてとも。とるぅ兄は続けた。



ころん「僕は…、長男だからって1人でムリしちゃダメだよ、って書いてあった。あと、体調のことも」


『…私は、久遠のことを気にかけてあげてね、とか。運動する時は、周りを頼るんだよ、って…』


久遠「…そっか。住所を知ってるの、私だけだったんだね」


そりゃそうか…と悲しく久遠がつぶやいた。



ころん「あっ！あれじゃない？あの黒い屋根の家！」


突然、ころ兄が指をさした。



久遠「ああっ！本当だ…！きっとあそこだよ！」


さっきの暗い空気はどこへやら、久遠は元のテンションに戻っていた



みんな、その家に向かって走り出す。


私と久遠は、早歩きだけど。



ひと足先についたころ兄とるぅ兄が、目を見開いて呆然と立っていた




ころん「母さん…？」



るぅと「お母さんですよね…？」




ころ兄とるぅ兄の視線の先には、

コンビニの帰りなのか袋を持っている女性がいた。



ころん「僕だよ、ころん。母さんの息子だよ」



ころ兄がその女性に喋りかけた瞬間、

女性が、持っていた袋をドサっと落とした



お母さん「こ、ろん？横にいるのはるぅと…？そこの2人は、Aと久遠…？」


お母さんが呼んだ私の名前が、すとんと胸に落ちた。

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