病弱な妹を持つ私【青】【黄】

No.29 ページ31

Aside

そして時は過ぎ、放課後。普通は部活の時間だが、私はないので帰宅。

ナオはこの後、陸上部があるって言ってたから…

今日は一緒に帰れない。

『あーあ、つまんないの』

そう呟きながら、ゆっくり自分の靴箱に行く。

『なんかいいこと起きないかなぁ』

私の声に反応して、前にいた女子が振り向いた。

久遠「あ〜っ！やっぱAだ！」

げっ。久遠…。
そういえば、久遠も帰宅部だったっけ。

久遠「一緒に帰ろ？ふたりきりで話したいことがあるから！」

ニコッと笑って、半ば強制的に手を引っ張られる。
そのまま校門を出て、2人で帰る空気になった。

久遠「あのさ…、なんであの時、先生に話したいって言ったの？」

“あの時”って、体育の時のこと？

『そんなの、1種目にしてもらうからに決まってんじゃん』

久遠「なんでそんなに気をつかうの？私、大丈夫って言ってるよね！？」

『だから！！私はあんたのために言ったんだってば！』

久遠「私、目立ちたくなかったのに！余計なことしないでよ！！」

だんだんヒートアップしていく口喧嘩。

どちらも止められない状況の中、誰かが私たちに声をかけた。

？？？「A、久遠！久しぶりだなぁ、まさかこんな所で会うとは！どうしたんだ、喧嘩なんかして」

私も久遠も、全く同じタイミングで声の主に顔を向ける。

そこには、見覚えのある男の顔。どこかで見たような、がっしりとした身体つき。




ーーこの人、私たちのお父さんだ…！

久遠もそれに気付いたのか、顔が真っ青になってる。
多分、私も真っ青だ。

だって、あのお父さんだよ？昔、お母さんと離婚する原因になったのは、全部あの人。

お父さん「おいおい、無視かぁ？お父さん、傷ついちゃうなぁ」

昔からそうだった。このねっちょりした喋り方をする時は、“怒っているとき”。

久遠「ねっ…、ねぇっ…！お父さん！どうしてここにいるのーー」ﾊﾞﾁﾝｯ

久遠がお父さんにぶたれて、尻もちをつく。

お父さん「敬語になってないなぁ？年上には敬語って学校で習わなかったのか？」

久遠「っ！」

ぶたれた頬を抑えて固まっている久遠に、お父さんは手を振りかざす。

またぶたれる、と思ったのか、久遠は目を閉じた。

お父さん「…A、なんのつもりだ」

お父さんの目線の先には、お父さんの手を抑える私の手。

…私、久遠を庇ったんだ。無意識のうちに動いてた。

お父さん「そんな悪い子に育てたつもりはないぞ？」

そう言いながら私に近づいてきてーー

首を絞めた。しかも、手で。ものすごい力でしめてくる。

息もしづらくなって、苦しくなってきた。

もう私、ダメなのかな…

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