病弱な妹を持つ私【青】【黄】

No.12 ページ13

Aside


久しぶりに、夢を見た。


まだ両親が家にいて、ころ兄たちも私と久遠を可愛がってくれた頃の夢。



あの頃はすごく幸せだったなぁって、今更思う。




幼いA
ーー『ねぇねぇ、おかあさん！おかあさんはAと久遠、どっちがすき？』ーー



不意に、幼い頃の私の声が聞こえた。

周りを見ると、いつのまにか見覚えのある部屋にいた。



お母さん
ーー「ん〜？お母さんはどっちも好きだなぁ。
Aはお母さんの自慢の娘だもん！あ、もちろん久遠もころんもるぅともね」ーー




そう言って、幼い私に優しく微笑みかけるお母さん。





…あぁ、そうだった。


私のお母さんは、優しかった。子供っぽいところもあるけど、頼りになった。



『お、お母さーー』



声をかけようと近づこうとしたら、一瞬にして違う場面に切り替わった。



驚く暇もなく、今度は怒鳴り声が聞こえる。




？？？
ーー「お前はなんでこんなこともできないんだよ！
俺は会社で金稼いでやってんのに！」ーー




この声は、お父さん…いや、“お父さん”とも呼びたくない。家族をバラバラにさせたのは、ほとんどアイツ。



また周りを見回してみる。そしたら、アイツの近くで泣き崩れてるお母さんと、それを見て震えている幼い頃の私たち。


なんでこんなところが夢に出てきちゃうんだろ。



お母さん
ーー「お願い、せめて子供たちの前ではやめて！ほら、怖がってるじゃない！」ーー


お父さん
ーー「はぁ？そんなの知らねぇよ。そもそもあいつらのせいでこんなことになってんだろ！？」ーー



お母さん
ーー「それは違う！子供たちのせいなんかじゃない！」ーー



まだあの頃の私は分かっていなかった。お母さんが、お父さんからひどい暴言を吐き続けられていたということに。

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