【ヒロアカ】幼馴染みが過保護過ぎてしんどい

３１ side無し ページ34

「HAHAHA…やるじゃないか、増方少女。正直、侮っていたよ」

増強系の個性を持つ人間は、大抵身体増強。それ故に近接戦闘が主だが、彼女の場合は身体だけでは無く、この世の森羅万象増幅してしまう。音、衝撃、それからあの爆音の中、平然と立っていられている事から身体に対しても何か増幅…いや、増殖していたのだろう。

「プレゼント･マイクの模倣みたいなものですけどね。やる気が無い訳じゃないけど、やっぱり面倒なので」
「ん〜！！君らしい！」
「残り大体5分くらいですかね？」
「おっ、それはまずいな。それじゃあ！今度はこっちから行くよ！」

そう言うなり、瞬時に彼女の背後に移動したオールマイトは直ぐ様、拳を握り締めて彼女へと叩き付ける。それを地面を蹴って何とか回避した彼女だったが、次々と容赦無く攻撃を仕掛けてくるオールマイトに避ける事か精一杯だった。

「…っ…！」

オールマイトが殴った地面は陥没し、当たったら痛いどころでは無いと嫌でも思い知らされる。唐牛で避けてはいるが、反撃する隙など与えないと言わんばかりに距離を詰められる。

残り4分。凌ぎ切れるとは思えないと、眉を寄せたAは軽く息を吸い込むと「あーーーっ！！！！」と出来るだけ高音で尚且つ大きな声量で叫ぶ。

その瞬間、グラウンド内を揺らす程の広範囲の音の波がオールマイトへと襲い掛かり、耳を塞ぐのが一歩遅れてしまった彼の耳からは血が流れ出す。

オールマイトが両手を耳に当てた事で隙が出来、その一瞬で体勢を整えた彼女は渾身の力を拳へと込め、オールマイトの腹にそれを捩じ込んだのだ。

「くっ…たばれっ！！」
「かはっ…！！」

衝撃、威力、スピードの増幅。それ等が込められた拳を直撃させられたオールマイトは吹っ飛ぶ。文字通り、周囲のビルを貫通し、元居た位置からかなり離れた場所のビルに背中から叩き付けられるまで。

その様子を静かに見詰めていた彼女は呟く。


「僕は何も出来無いんじゃない。しないだけだよ」


その後、タイムアップを報せるサイレンが鳴り響き、彼女が勝利したのだった。

３２→←３０ side無し

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す