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夢見が悪かった。言わずもがな…あの子供の夢だ。だけど、今までとは少し違っていて、今まではあの子供に海に突き落とされ、無数の手に引き摺り込まれる夢だったのだが、先程見た夢は…僕が子供を海へと引き込み、首を絞めて殺す夢だった。
苦痛に歪む子供の顔が、あの子供が殺された時と全く同じ表情で……夢での出来事の筈なのに、恐怖から手が震える。
子供を殺す僕は泣きながら笑っていた。そうする事で解放されるとでも思っているのか、幸せそうに笑うのだ。
そして息絶えた子供を見て、死んだ方がマシだと思える程の孤独に苛まれる。
「…馬鹿げてる」
グッと恐怖から来る手の震えを握り潰す様に拳を握り、控え室から出て試合会場へと向かう。すると、通路の先で何故かオールマイトが立っていて、僕を見るなり「待っていたよ」と声を掛けてきた。
「暑苦しい激励なら要らないですよ」
「そう釣れない事を言わないでくれ。…増方少女、激励とは違うが君に一つ言っておかなければならない事があってね」
「………」
何も言わずに視線だけオールマイトに向けて彼の言葉を待つ。死柄木さんが何を理由にこの人を殺したいのかは想像の域を出ないけど、オールマイトは殺して死ぬ様な人では無いだろう。
伊達に平和の象徴と呼ばれているじゃない。それ相応の力があってこそだ。
体育祭が終われば僕はオールマイトの敵になる。平和の象徴に害を成す悪意の一つになるんだ。
「増方少女、以前言った言葉を覚えているか？個性は使い方次第で毒にも薬にもなると」
「…はい、覚えてます」
「今、改めて言うよ。君の全力を受けた者として、これから君は人に個性を向けなければならない。その時、どうか思い浮かべてほしい。大切な人の顔を」
ヒーローとは少なからず相手を個性で傷付けてしまう。大義名分を翳そうとも、暴力には違いが無い。だが、守る為の力は決して悪では無い。
「迷う時もあるだろう。だが、増方少女にも大切な人は居るだろう？思い浮かべたその人物が笑顔であれば、それは悪では無い」
そう僕の肩に手を乗せたオールマイトは「さあ！行くんだ！」と白い歯を見せて親指を立てる。
「結局、激励っぽくなってますよ」
「HAHAHA！」
「…肝に銘じておきます」
オールマイトに背を向け、試合会場へと続く通路を真っ直ぐと進む。
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パル(プロフ) - ウサギさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!良い文なんてとんでもないです！1日で読んで下さったんですかΣ(・ω・ﾉ)ﾉ有難う御座います!!(><)これからもﾀﾞﾗﾀﾞﾗとした進行度ではありますが、どうぞよろしくお願いします!! (2018年6月1日 11時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
ウサギ - 良い文ありがとうございます。 今日発見したが、すごくおもしろくて一日で全部読んでしまいました。 これからも頑張ってください。 (2018年6月1日 11時) (レス) id: 7b63bf87a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2018年5月22日 20時
