１９９ side無し ページ12
「透…ちゃん…？」
静かに目を覚ました彼女はまだ眠気が抜け切っていないのか、ぼんやりとした目で葉隠を見上げる。
「んー？あ、起きたんだね！そろそろ起こそうと思ってたから丁度良かったー！」
こういう時、自分の個性が透明人間で良かったと思った葉隠は声だけでも明るく、いつもの自分を演じて見せた。
本当は不安で、きっとそれが顔に表れてる。だけど、自分の素顔は誰にも見えないから気付かれる事は無い。だから、今まで通り、明るく笑ってみせる。
「…透ちゃん、お腹痛かったりする？」
「え？お腹、ギュルギュル鳴ってた？」
「ううん…ただ、透ちゃんが無理に明るく振舞ってる様な感じがしたから……ごめん、夢見悪かったせいで意味わかんない事言った。気にしないで」
ゆっくりと身体を起こして立ち上がった彼女に葉隠は見透かされた事にﾋﾔｯとする。彼女は普段は気怠げでそうは見えないが、聡い人間だ。
葉隠は反対側の観客席を睨み付ける様に見る彼女の視線の先をなぞる。すると、そこには一人の威厳に満ちた老父が同じ様に彼女を見ていて、自然とその人物が彼女の祖父なのだと察した。
「Aちゃん！応援してるからね！！」
彼女に怖い顔は似合わない。そう思った葉隠は彼女の祖父から意識を逸らす様に彼女の手を両手で包み込み笑い掛けた。
それに一瞬驚いた顔をするAだったが、直ぐに葉隠が好きな柔らかい笑みを見せて「うん、任せてよ」と言う彼女に安心する。
そして、同じタイミングで飯田と観客席を後にする彼女の背中を静かに見送った葉隠は同じ様に彼女の背を見詰める爆豪に「ねぇねぇ」と話し掛けた。
「あ？」
「Aちゃんって何で二人の家に居候してるのー？」
「は？」
「いや、だってさ、普通預けるなら親戚とかじゃん？」
「クソナードが泣き付いたからだろ」
「かっちゃん、君もAちゃんから離れなかったじゃないか。僕だけのせいにしないでよ」
いつの間にか観客席に戻って来ていた緑谷は「急にどうしたの？」と首を傾げる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パル(プロフ) - ウサギさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!良い文なんてとんでもないです！1日で読んで下さったんですかΣ(・ω・ﾉ)ﾉ有難う御座います!!(><)これからもﾀﾞﾗﾀﾞﾗとした進行度ではありますが、どうぞよろしくお願いします!! (2018年6月1日 11時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
ウサギ - 良い文ありがとうございます。 今日発見したが、すごくおもしろくて一日で全部読んでしまいました。 これからも頑張ってください。 (2018年6月1日 11時) (レス) id: 7b63bf87a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パル | 作成日時：2018年5月22日 20時
