１９８ side無し ページ11
上鳴と塩崎の試合が始まろうとした時、自分の膝の上で魘されているのか、険しい表情で「…来る、な…」と何かを拒絶する言葉を吐くAに葉隠は起こそうとした手を止める。
入学してから今日まで、思えば短い付き合いかも知れないが、葉隠は彼女を友人というカテゴリーの中でも上位にその存在を置いていた。
幼馴染みに過度な世話を焼かれる、いつも気怠げだけど、明るくて面白い女の子。幼馴染みから離れて自分や轟、八百万や瀬呂達と話す時に見せる自然な笑顔が葉隠は好きだった。
友達と言えど、こんなにも自分達と話す事を喜ぶ人間はそうは居ないだろう。ただの雑談でも、彼女にとっては幼馴染みの干渉を受けない自由な時間であり、それを彼女が大切にしている事は自然と分かる。
ただ、最近の彼女は何処か儚げで、楽しく話している今を噛み締める様に…まるで、束の間の幸せを謳歌する様に、有限の時間を惜しむ、そんな顔をするのだ。
「…何処にも行ったりしないよね…？」
魘されるAの頭をそっと撫で、内に抱える不安がどうか杞憂であってほしいと願いながら小さく零す。
『ちゃんとした女の子友達、透ちゃんが初めてなんだ…だから……ありがと…』
眠りに落ちる間際にそう告げた彼女の言葉が蘇る。今更改めて感謝の言葉など、まるで最後の挨拶の様だと、葉隠は眠る彼女が何処にも行かない様にと手を取った。
ねぇ、Aちゃん。Aちゃんはきっと沢山色んな事を考えて生きてるんだよね？私はバカだけど、でも…Aちゃんがおじいちゃんの話をしてる時に見せた表情は、めんどくさいだけじゃなかったの…気付いてたよ？
でもね、きっと触れてほしくない事なんだろうなって、寂しいけど…何も気付いてないフリをしたんだ。Aちゃんがどんなに私達を尊く思っているのか、目を見れば分かる。
だからこそ、不安になる。考え過ぎて…何処かに行っちゃうんじゃないかって。緑谷と爆豪を切り離したのはその前準備なんじゃないかって…そう思ってしまうんだよ。
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パル(プロフ) - ウサギさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!良い文なんてとんでもないです！1日で読んで下さったんですかΣ(・ω・ﾉ)ﾉ有難う御座います!!(><)これからもﾀﾞﾗﾀﾞﾗとした進行度ではありますが、どうぞよろしくお願いします!! (2018年6月1日 11時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
ウサギ - 良い文ありがとうございます。 今日発見したが、すごくおもしろくて一日で全部読んでしまいました。 これからも頑張ってください。 (2018年6月1日 11時) (レス) id: 7b63bf87a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2018年5月22日 20時
