村中25歳の話 #岡本side ページ43
木村「杯を乾かすと書いて〜?」
「「「「「かんぱーい!!」」」」」
岡本「にゃかちゃんおめでとう」
江口「おめでとう」
斉藤「おめでとう、にゃかちゃん」
木村「にゃか、おめでとう」
『ありがとうございます』
今日はにゃかちゃんの誕生日会だ。アフレコ終わりに待ち合わせて、にゃかちゃんが選んだという居酒屋にやって来た。確かに雰囲気はいいし、料理もお酒も美味しいけれど……
岡本「このお店、にゃかちゃんの指定だったんでしょ?なんか意外」
『そうですか?』
岡本「だってにゃかちゃん俺と同じですぐ肉って言うじゃん」
僕がそう言うと、にゃかちゃんは『それは否定できないです』と苦笑いする。横から江口くんが
江口「ここ、にゃかちゃんのバイト先なんですよ」
と教えてくれた。
岡本「そうなの?」
『はい。なんですけど、今年いっぱいでやめようと思ってるんですよね』
江口「あ、そうなんだ」
『ありがたいことに忙しくなってきたおかげで、2ヶ月くらいシフト入れなくて。メインキャストでお仕事も決まりましたし、ここはもう腹括ってやめようかな、と』
にゃかちゃんはちらりと壮馬くんを見ると、壮馬くんもにっこりと微笑んだ。壮馬くんが主役を担当するアニメに、にゃかちゃんもメインのキャラクターとして出演が決まったという話は聞いていた。にゃかちゃんの言い方からすると、まだ不安はあるけれど声優1本で生活していく目途がある程度たったということだろう。
岡本「よかったじゃん」
『はい。お世話になった大将への恩返しと、あとは一回お店のメニューゆっくり食べてみたかったので(笑)それで、ここでして欲しいってお願いしたんです』
岡本「なるほどねぇ」
考えてみれば、“いつメン”と呼ばれるメンバーが揃ったのは今日が久しぶりのような気がする。にゃかちゃんはメインキャストの仕事が決まったと言っていたけれど、そうでなくてもレギュラーの仕事も増えてきているのは確かだった。圧倒的に男性役が多いけれど、現場で会うにゃかちゃんは楽しそうにしているし、なにより知名度があがるのはいいことだ。
『ちょっとお手洗い行ってきますね』
にゃかちゃんが席を立つと、良平さんが誰に言うでもなく「村中には男役の才能があったのかぁ」と呟いた。
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作者名:ちとせまる | 作成日時:2019年12月20日 17時