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カラオケの話 #斉藤side ページ17

アフレコを1本終え、次の仕事までの空き時間。カフェで本でも読もうかな、と歩いていると某カラオケ店の前に知った背中が見えた。

斉藤「にゃかちゃん?」

驚いて振り返ったその顔は、僕を見て安心したように微笑む。

『斉藤さん。お疲れ様です』

斉藤「カラオケ?ストレス解消なら僕も付き合うよー」

『あー……えっと……』

にゃかちゃんは一瞬困った顔になったけど『じゃぁ一緒に入ります?』とお店を指差した。
そういえばにゃかちゃんが歌っているのは見たことがない。どんな曲を歌うのか、どんな感じなのかと思っていたけれど、マイクを握らせてみてびっくりした。音域も広く、音程も安定している。「一緒に歌おう」と言ってマイクを渡し、こちらがハモってみると、驚いていたけれど嬉しそうに微笑んでくれた。その顔がまた可愛くて、今この瞬間その笑顔を独り占めしていることにものすごく優越感を感じた。
そんな感じで1時間程歌った頃だろうか、にゃかちゃんがおずおずと『あの、斉藤さん……』と声をかけてきた。

斉藤「なぁに?」

『私、最近男性声練習してるんですけど、聞いてもらってもいいですか?』

斉藤「うん。もちろん」

そう答えてから、おや?と思った。

斉藤「もしかして、そのためにここ来た?」

『あ、いや……』

にゃかちゃんは僕に気を遣ってくれているらしく、否定しようとしたけれど、恐らく練習のために来たので間違いないだろう。だから、店の前で僕が声をかけたときに、少し困ったような顔をしたのだと思った。
こうなったら出来る限り、にゃかちゃんの練習に付き合うしかない。僕でどこまで役に立てるかわからないけれど。
にゃかちゃんは『ありがとうございます』と言ってから、鞄から台詞の書かれた紙を取り出すと、咳払いをして声のチューニングをする。

『あ、あー、あー、あー』

そして、にゃかちゃんは台詞を読み上げた。
すごい。ちゃんと男性声に聞こえる。

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作品ジャンル:タレント
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作者名:ちとせまる | 作成日時:2019年12月20日 17時

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