バイトの話 #江口side ページ12
江口「店ここっぽいな」
斉藤「先入ります?」
今日は声優仲間数人と飲むことになり、宏太朗に店選びを任せたのだが、宏太朗自身は仕事の関係で遅れてくると連絡があり、スマホのナビを頼りになんとか辿りついた。思ったより雰囲気の良さそうなところで、宏太朗もなかなかセンスがあるなぁと思いながら店内へ入る。そこで聞きなれた声を耳にした。
『550円のお返しになります。ありがとうございましたー』
江口「にゃかちゃん?」
僕が名前を呼ぶと、声の主は振り返り、僕の顔を見てすごく驚く。
『江口さん!?お疲れ様です。どうしたんですか?』
江口「いやいやこっちの台詞」
僕の後ろからひょこっと壮馬が顔を出した。
斉藤「お疲れ様」
『斉藤さんも!お疲れ様です。二人でご飯ですか?』
斉藤「あとから宏太朗も来るよ。村中ちゃんはバイト?」
『はい。ここ知り合いのお店で。あ、予約してますか?』
江口「うん。宏太朗の名前で予約されてるはず」
にゃかちゃんは予約表を確認し、僕たちを席へと案内した。
『バイト入った時に予約確認したのに、全然気が付きませんでした』
まぁ西山はよくある苗字だし、気が付かなくても無理はない。
『こちらのお部屋です。オーダーは皆さん揃われてからにしますか?』
壮馬が僕の顔を見上げる。その僕がにゃかちゃんの顔を見る。するとにゃかちゃんは笑って
『生2つですね。すぐお持ちします』
と部屋を出て行った。
江口・斉藤「「かわいいー・・・」」
壮馬とハモって思わず顔を見合わせる。にゃかちゃんのファンは業界内にも多い。ファン以上の感情を持っている人だって少なくない。僕たちはお互いに無言で腹の探り合いをしていた。
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作者名:ちとせまる | 作成日時:2019年12月20日 17時