水族館と君 3 ページ27
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ひと運動した後、水を飲んでいると俺のベッドに置いてあったサメのぬいぐるみを羽交い締めにしたAさんはじと目で此方を見ていた。
え、可愛い。
サメのヒレをパタパタと弄んでいて、拗ねているのを隠す気もないらしい。
shp「いります？」
「…いる。」
枯れた声で返事をするAさんにペットボトルを渡すと、ゆっくりと起き上がってから残りの水を一気に飲み干した。
枯れた声も堪らんけど、無理させてしもうたかな…まぁ、反省も後悔もしてへんけど。
Aさんは俺に飲み干したペットボトルを差し出しながらお礼を言うも、何やらまだ不満そうな表情を浮かべている。
shp「何が不満ですか？まだ足りませんでした？」
「ちゃうわ！そうやなくて…」
shp「なくて？」
「ジンベエザメのぬいぐるみ、欲しかった…」
shp「へ？」
先程の行為に不満があるのかを聞きながら、ベッド脇に腰を掛けるとちゃうわと少し強めのツッコミが入った。
続きを促すようにAさんの顔を覗き込んで尋ねれば、なんやそれ、可愛すぎるやろ！
多分、お土産コーナーで売ってたやつのことやと思うけど。
お土産見る時間も惜しんで帰ってきたもんやから、どうもそれが不満やったみたいや。
shp「Aさんって、ラッコ好きでしたよね？今度、ラッコのぬいぐるみ買いに行きません？」
「え、ラッコ？欲しい！」
俺の提案にぱっと表情を明るくさせ、嬉しそうに返事をするAさん。
「なぁなぁ、そしたらショッピくんのバイクで行きたいんやけど…は、あかんわ。バイクじゃぬいぐるみ乗らへんわ……」
どれだけ大きいぬいぐるみを買う気なんやろうか……
Aさんは、何かと俺のバイクに乗りたがる。
いや、普通に嬉しいんやけどそこまでこだわんのはなんでなんやろ？
shp「そんなにバイクが良かったですか？車じゃあかんの？」
「……」
shp「ん？」
「……バイクやったら、外でもくっつけるやろ？」
くっそ、こんなん勝てる奴おりゅ？
これはずる過ぎるやろ。
第二ラウンド待ったなしやわ。
shp「ほな、ぬいぐるみは郵送しましょ。」
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作者名：手羽先の手先 | 作成日時：2020年5月28日 1時
