【ut】夏が始まる___dai ページ6
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今日から夏休み。ここから青春の1ページが始まる___というわけでもなく。
「終わんない…」
クラスメイトがいなくなった教室で1人、プリントと向かい合う。なんでも提出期限が今日までらしい。いや昨日教えてくれよみんな。
「お、Aまだ残っとったん？」
突然ガラリと扉が開き、間から見慣れた顔がひょっこり覗かせた。
「え？わ、鬱！何しとんの？」
「ん〜？ただの忘れ物やで」
そう言い自身の机を漁り出したかと思えば「お、あったあった」なんてひらひらとプリントの束を見せつけてくる。はいはいよかったでちゅねー。
「…ん？なんでこっち来たし」
「終わるまで待っといたるわ。どうせ帰りも1人やろ？」
「ちょっと一言余計かな〜？1発殴らせろ〜？」
拳を作って見せれば「わ〜こわぁ〜い」なんて緩い声が返ってくる。ほんまにこいつは…。
「…あ、ここ間違っとるで」
「ぶっ飛ばすぞ」
「理不尽すぎん！？」
先程書き終えたばかりだった箇所を鬱が丁寧に消していく。あああ…私の努力が…。
「そういやさ」
「なんだよ…今私は萎えてんだよ…」
「由香ちゃんと別れてん」
……ん？
思わず彼の手元からぱっと目線を上げる。彼はまだ消している。筆圧濃くてごめんな。いやそれどころじゃない。
「え、なんで？まだ1ヶ月経っとらんよね？」
「あー、好きやなかったから別れた」
サラリと言ってのけた彼はそれに、と続ける。
「僕な、ずっと好きな子おんねん」
「…え？」
頭をガツンと殴られたような衝撃。
鬱に？女の子を取っかえ引っ変えしてるこいつに？
「へ、へー…そうなん…」
「おん。その子なぁ、どれだけアピールしたって気付かへんの。…でもやっぱり好きなんよ」
目を細めて幸せそうに微笑む彼にズキンと胸が痛む。あぁもう、なんでこんな屑野郎を好きになってしまったんだか。
「…誰なん？私の知ってる人？」
こうなったら敵わない女の子の名前を出してもらってキッパリ諦めよう。…無理かなぁ。
目の前の彼は少し躊躇った後、意を決したように口を開いた。
「A」
「は？」
「…A」
唐突すぎる自分の名前にぱちぱち瞬きを繰り返すことしかできない。
「ずっとAのことが好きやった」
耳まで真っ赤にした彼の目は真剣そのもので。今まで見たことのない表情にドクンと胸が高鳴る。
「僕と付き合ってくれませんか」
こんなの、ずるいよ。返事なんて決まってるのに。
彼に伝わるよう、ゆっくりと頷いた。
【sho】ホームランボールに導かれる(un)→←【zm】不器用で素直じゃない *ﾏﾝﾎｰﾙ
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夢喰病 - 一話一話本当に素敵です…！私もこんな文才が欲しかった…(小声) 最後まで楽しく読ませて戴きました！最高の短編集をありがとうございましたm(_ _)m (2020年3月23日 10時) (
レス) id: 582bb38728 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - ショッピくんの「寝たい」の続編まってます！ (2019年10月13日 6時) (レス) id: e38fcc759c (このIDを非表示/違反報告)
蝋 - ん”ん”ん”好きです。(唐突) 表現が素晴らしいです…! 更新待ってます！ (2019年9月12日 1時) (レス) id: a160d0e24d (このIDを非表示/違反報告)
栄養失調 - 割と本気で語彙を下さい……えぇ……素晴らしい作品を見つけてしまった……更新頑張ってください！！めっっっちゃ応援してます！！！ (2019年9月3日 21時) (レス) id: 3967b4b60c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ギスギスしない夢女達 x他4人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tantanmen1/
作成日時：2019年8月31日 16時
