【d!】ギスゲバ荘の大家 (ページ3)

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Aは手首に着けていた鍵やら道具がジャラジャラと付いた紐から魔法少女が持つようなファンシーなステッキを模したストラップを探し出すと、それを握って前へ掲げた。
するとステッキがぐんぐんと伸びて大きくなり、本物の魔法少女サイズに変形した。

「えらい似合わんもん持っとるけど何それ？」

「女児向けアニメに出てきそうなやつやな」

Aは答えることなくまっすぐ前を見ると魔法少女ステッキをえいっと声を出して振った。
その声があんまりにマヌケだったのでそばで見ていた男２人は困惑したような表情を浮かべている。

しかし。

「うわぁあ！なんやコレ！！」

「戻ってる戻ってる！！」

ボコボコに割れてしまっていた大理石の床が、まるで時間を巻き戻しているかのように元の姿へと戻っていく。
するとガレキの中から先程追われていたもう１人の男が現れた。

「あー！！アカン大先生忘れとった！」

「ほんまや俺も忘れとった」

男２人はぺしぺしと倒れている男の顔や股間を叩いたり蹴ったりしているが、一向に起き上がる気配がない。

「その方は大丈夫でしょうか」

「死んどるんちゃうか？」

「とりあえずここに置いといても邪魔やしどっか連れてこか」

「それでは管理人室に運びましょう。先程の爆発のことも詳しくお話を聞かせていただきますからね」

倒れている男を３人で管理人室内の一角にある応接間のソファになんとか寝かせ(あまりに重かったため途中ほとんど地面を引きずっていた)、Aはそれとは向かい側のソファに男２人を座らせた。

「突然のことで自己紹介もまだでしたが、今日から管理人になるAと言います」

応接間にはなぜかティーセットと日本茶の茶葉しかなかったため、Aは仕方なくティーカップに緑茶を注いで机の上に置いた。

「すみません。こんなものしかなかったのですが、同じ葉っぱですのでおおめにみてください」

rb「ああ、すんません...えっと、僕は２階に住んでるロボロと申します。いきなりあんなもん見してほんますんません」

sha「４階のシャオロンでーす。悪いんやけどさ、先にさっきの床戻したやつ説明してくれへん？めっちゃ気になるんやけど」

Aは建物の図面を戸棚から探し出してペラペラとめくりながら奥にあった小さな腰掛けを持ってきて彼らの近くに座った。

「201号室のロボロさん、それから402号室のシャオロンさんですね。あれは...まあ大家ですから。そういうことです」