【wrwrd!】総統の女

外回り2 ページ8

軽く雑談を交わしつつ、今日の会談を纏めあげたAは２年目としては上出来の結果だろう。

じゃあまた！と笑うトントンにはい！と返すAは最初のような怯えは無い。

しっかり握られたトートバッグの中の書類達が今回の成果だろう。

グル氏ちょっといい？とトントンが首を傾げるので、Aに先に下に降りているように告げて、なんだと業務的に返す。

「んふふ、Aちゃんいい子だね〜、うちの不人気に見習わせたいくらい」
「なんだ、雑談なら俺は帰るぞ、この後のスカイプにしてくれ」

この会社には色々と厄介なのが蔓延っているのでAを下で長い間待たせたくない。
俺の様子が伝わるようにトントンはニンマリ笑んだ。その顔は普通に腹立つ。

「だからねぇ？そーんな2人に俺からプレゼント！別に活用しなくてもいいけど？まぁ手は回しといたから、安心して使って？」

渡されたソレは、到底役に立つようには思えない。突っ返そうとすれば、いいからいいから、とエレベーターまで押し込められる。

「おい、トントンお前」
「はいはい、文句は後で聞くからね〜出荷よ〜」

そんなー。じゃない。こまるんだが。

渋々Aの元に戻ると、グルさん持ってたんですか？とちょっと嬉しそうな顔で見られた。なんでや。

「傘、パクられちゃったみたいで。濡れて帰るか迷ってたんですよね」
「ほぅ...俺のもないのか？」
「はい、どっちも無くなっちゃってます」

だからか。
手を回したとはきっと、シャオロンやコネシマあたりを使って俺達の傘を回収しておいたという事か。なんて奴らだ。

「私、ちょっと傘買ってきます、確かすぐ近くにありましたよね、コンビニ」

外は先程よりも雨脚が強くなっているのに、コイツは外に買いに出たいらしい。そんなの許してたまるか。

「お前傘使え。
これはトントンからだから俺が使う必要も無い。それに俺の方が速い」

相合傘とかいうイベントは無しで。上からどうせあいつらが見てる。
傘を投げやりに渡すと、大人しく受け取った。
これでいい、少し走るか。

「じゃあこうしましょう！
グルさんが濡れるのは正直良くないです！」

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