【wrwrd!】総統の女

甘やかな昼時 ページ46

秋風が吹きすさび、初冬の寒さが臨時で外回りをしている我々を包み込む。
あまり良くないな、トレンチコートだけでは耐えられないような寒さは勘弁して欲しいのだが。

少し休憩していこうか。

そう提案した時の嬉しげな顔は久しぶりに見た気がする。
と、いうよりも、最近は仕事が立て込みあまり時間を取れていなかっただけともいうが。

「次は安心出来るところですね」

そうだな、なんてプラスチックカップで暖をとるAに返せば、楽しげに緩んでいるその脣が紡ぐ仕事仕事、仕事に心が燻る。
仕事を注視するよう育てたのは俺だ。だが、今くらいはいいだろうと思ってしまうのも事実で。

「A」

はい。と答える頬をそっと撫でるとぴくりと。
突然の行為に驚く顔に塗り変わり、気分がいい。
そのままカップを半分まで飲み、明日は暇やろ、ともう1度撫ぜればわかりやすく紅潮した頬で頷いて。

帰り調節するから。なんて言えば、完全に抜けた仕事モードから、私生活のゆるゆるさで。
毎日惚れ直すばかりだ、この女には。
今までのに感じたことのないこの気分にさせるから、

断られる想定などもうしない。俺が彼女を牽引する。果ての果てまで逃がす気はない。

両手で包み込むプラスチックカップは温く、時計が刻む時刻は、予定まであと45分を示していた。

「A、そんな顔取引先でしたら許さへんからな」
「えっ、なんのかお！？叱られるのは勘弁して欲しいんですけど」
「顔、緩みすぎや」

そっと口端を摘めば、ちょっと眉を寄せる顔がコミカルで、頬が緩む。

後ろで騒ぐ女子高生など目をやるほどでもない。恥ずかしいからやめて、なんて抗議は知らぬ振りだ。

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