【wrwrd!】総統の女

癖 ページ44

悪癖だと分かっていても辞められないものがある。

「グルちゃ、も、だめ！」

それ以上は隠せない！と自らの首周りを覆うAの掌にだめか？と問いかけると、だめ！と押しのけられる。

「別に見えても問題ないやろ」

社内に恋愛禁止令なんぞひかれていないし、無数に散らされいる鬱血痕はそもそも俺がつけたものだから嫉妬も何も無い。
むしろ見せつけてやりたいほどなのにどうしてそこまで拒むのか。

逃げられないよう抱きしめると、それはそのまま、されるがままなのだから、益々納得がいかないものだ。

「も、問題あるよ！突然こんなの散らしてたら同僚になんていわれるか！」
「同僚に言ってやればええやろ、彼氏ができたって、それでええやろ」

そんな理由で俺の所有痕を拒まれたと思うと少々腹が立つ。
ようやく手に入れたA、手放したくないし取られたくもない。
なにより、征服したような、ようやく陥落させたような気分がして、止まらないのも事実。

「そこまでカンタンにできてないの」

膨れたような唇に噛み付けば、もう！と怒られてしまう。

「グルちゃんは跡つけたがるよね」

そんなことないぞ、と腹にも手を回すと、擽ったいと身をよじる。
その空いた首元に、跡をつけないよう口付けを落とせば呆れたように溜息をつかれてしまう。
ここで調子に乗って跡を付ければ嫌われてしまいそうだからつけないが。

ただ、他のところは止められない限りやめるつもりは無い。

ぐるりと首元を一周するようにキスを落とし続け、少しづつ背中に下がる。
肌は柔らかく滑らせやすく、そして甘い。

グルちゃん！？なんて止めに入る指も柔らかく食めば戸惑う声に、口角が上がってしまう。

「A、愛している」

わ、わたしもだよ！なんて反駁するAの唇にまたキスを落とせば、グルちゃんはキス魔な人だったのね、のコメント。

「いやか？」

ふと心に過ぎるくらい思いを呟けば、暖かな手のひらが頬を包むのだ。

「そんなことないよ」

あぁ、やはりコイツは俺好みのいい女だ。

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