【wrwrd!】総統の女

リク*悪酔いの人 ページ19

「へ、私ですか？」
そうそう、と頷く上司さんについて行くと、見事に酔い潰されたグルさんがいた。
うわぁ、と思わないこともなかったがグルさんが生きた人間である事を再確認した気もする。

宮川さんの友人さんが上がるまで相手してて、と告げられ、突然押し込まれたミーティングルームは無駄に広く感じる。さり気なく去っていった先輩はなんなんだ。

中央で机に上半身を伏せた彼は恐らく何か取引故に呑んだのだろうが、調節の上手い彼にしては珍しい事態なのではないだろうか。

「えぇと、グルさん？大丈夫ですか？」

そっと肩に触れると、んー、とうめく声と共に伸ばされた腕に戸惑う。
えぇ、と？
何すればいいのこれ。

「グルさん？大丈夫ですか」

何かを探すようにウロウロしている手に触れると、きゅう、と握ってきて。

思った以上に力強くてびっくりして、何も思わないわけがなく、心臓がやたらと跳ねる。

「ここに、居ろ」

くぐもった声が私の足を縫い付けた。
それと同時に力の強くなる手が、やたらと大きくて角張った手がどうしようもなくグルッペンさんがここにいる事を意識させる。

「今日は随分と甘えたですね、グルさん」
「ん......」

寝ぼけているらしい彼は、私の必死に絞り出したからかいも気付かずに呻いた。
握られた手のひら以外を持て余して、好奇心で彼の頭に指を通した。
さらさらとしたその髪は侵入を拒まない。

が、ふと意識は現実的なものにシフトしていって。

人が、くる。

2→←リク*人間の屑の部下

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す